【湘南つなぐ鍼灸接骨院の太田弘信さん】「最初に相談できる場所でありたい。」鍼灸、接骨院、トレーナーの3役を担う。
茅ヶ崎の雄三通りで働く方にお話を伺う「雄三通りで会えるあの人」。今回は「湘南つなぐ鍼灸接骨院」の太田弘信さんにご登場いただきます。身体の不調があったとき、トレーニングの方法を知りたいとき、頼れる地域の先生が欲しい方は、ぜひ最後までお読みください。
■鍼灸、接骨院、トレーナーの3役
――― まず、「湘南つなぐ鍼灸接骨院」の基本的なところから質問させてください。
太田 はい、よろしくお願いします。
――― その「鍼灸接骨院」ということは、「鍼灸」と「接骨院」の両方に対応しているのですか。
太田 そうですね、その両方から症状にアプローチをしています。
――― 鍼灸と接骨院は、どんなすみ分けで考えたらわかりやすいですか。
太田 まず「鍼灸」は頭痛・腰痛や体のダルさといった、慢性の症状へのアプローチが主です。
そして「接骨院」は転倒やスポーツの怪我といった、急性の症状へのアプローチが主と考えるとわかりやすいと思います。
↓施術する太田先生(引用元:note)
――― 慢性には鍼灸、急性には接骨院、その両方のアプローチで症状を診てもらえるのですね。
太田 はい、ですから身体の不調を感じたときはお気軽に相談に来ていただきたいです。
それに加えて「アスレチックトレーナー」の資格も持っているので、プロスポーツの選手やオリンピックを目指している選手の指導もしています。
――― なるほど、身体の不調には鍼灸・接骨院として診てもらえて、運動の仕方はトレーナーとして見てもらえるのが、湘南つなぐ鍼灸接骨院ということですね。
太田 はい、まとめるとそういうことです。
↓湘南つなぐ鍼灸接骨院の内観
■鍼灸が有効な症状
――― 最近は新型コロナの影響で働き方が変わって、肩こりや腰痛を抱える人も増えていますよね。
太田 そうですね、家で仕事をする方が増えていますから。
――― 鍼灸はそういった慢性的な症状に有効とのことですが、東洋医学の領域になじみがない方に向けてどういうものかご説明いただけますか。
太田 実は鍼にもいろいろあります。ご想像されている東洋医学をベースとした手法の他にも、現代医学をベースとした手法もあるんですよ。
――― そうなんですね。太田先生はどちらですか。
太田 私は現代医学をベースとして、東洋医学のアプローチもとるタイプです。
たとえば肩こりの症状は「気の巡り」で説明しても理解されにくい場合があるので、西洋医学的な、つまり科学的な根拠に基づいた説明をしたりします。
――― ちなみに西洋医学よりも東洋医学の方が有効な症状はなにがありますか。
太田 一概には言えませんが、たとえば「腰椎椎間板ヘルニア」や「坐骨神経痛」、「メニエール病」などはわかりやすいかも知れません。
薬で改善しなかった症状が、鍼で良くなることはありますね。
――― たしかに、ヘルニアは鍼で対処するイメージがあります。他にもありますか。
太田 あとは「間質性肺炎」といって、タバコの吸いすぎで肺がもう広がらなくなって、すぐ息切れしてしまう方がいるんですけど、病院の先生から「もう良くならない」と言われた方でも鍼が効く場合があります。
――― そういうことがあるんですね。
太田 実際、間質性肺炎の患者様の背中に鍼を打ったあと、血中酸素濃度を計測すると改善がみられました。
先ほども言ったように東洋医学は理解されにくいのですが、そうやって数値が測れると目安としてわかりやすいですよね。
――― なるほど。
太田 ただこれも一例に過ぎませんから、人によりますし、全員に当てはまる話ではありません。その人にとっては、薬と鍼との併用が良かったのだと思います。
大切なことは症状の改善ですから、そのためのアプローチとして西洋・東洋どちらかしか信じないではなく、総合的に考えられると良いですよね。
■波長を合わせることが大事
――― 症状に対して有効なアプローチは人によるという話がありましたが、たしかに薬が合わない人もいれば、鍼が怖くて精神的に無理という人もいますよね。
太田 そうですね。そういう場合は効果も出にくくなるので、他のアプローチに切り替えます。
↓施術する太田先生(引用元:note)
――― やはり気持ち的に拒絶されていると効きにくいですか。
太田 はい、そういう意味では施術者と患者様との関係性も大きいです。
人間って波長があるので、それを合わせることがすごく大事なんです。患者様との波長が合わないと、施術はうまくいきません。
――― そういうものなんですね。
太田 先日とある小学生が、親御さんと一緒にいらしたんですね。その子はサッカーで怪我をして肘がまったく曲がらない状態でした。
病院からは「そのままだと治らない可能性が高い」と言われてしまったらしく、心配した親御さんが鍼を試そうと連れて来られたんです。
でも、当の本人は注射が大の苦手なので「絶対に鍼は嫌だ」と。
――― 拒絶の状態ですね。
太田 本人が納得しないまま鍼を打っても効果は薄いと思ったので、40分間しっかり説明をして、本人から「やる」という言葉をもらってから鍼を打ったんです。
――― 根気のいる時間ですね。それでどうなりましたか。
太田 無事、肘が曲がるようになりました。しっかり向き合えて良かったと思います。
お互いの波長が合うためには、まず私自身がオープンであること、その上で患者様と信頼関係を築くことが大事だと思います。
■最初に相談をされる場所でありたい
――― せっかくなので、すこし突っ込んだ話も伺わせてください。私のような一般人からすると鍼灸とか接骨院はちょっと料金体系が分かりづらいのですが、どう思われますか。
太田 そうですよね。その原因としては、まず料金設定が言い値であること、そして保険適用の問題があるからでしょうね。
――― そうなんです。保険を使う「保険診療」と、使わない「自由診療」の境目が曖昧な気がします。
太田 保険が適用になるかどうかは当然ルールがあります。
鍼灸の場合は鍼灸保険を使用せず、自由診療で施術を受けられる方が多いですが、接骨院の場合は実情が違いますよね。
――― むしろ接骨院は保険が適用される場合が多いイメージがありますね。
太田 そう、それが保険の適用範囲の怪我であれば勿論良いと思います。
ちなみに湘南つなぐ鍼灸接骨院の売上のうち保険診療は10%以下ですが、これは自分が診て、この怪我が保険適応なのか見極めた上での数字です。
――― あえて意地悪な質問をしますが…でも患者さんからしたら保険を適用して安い方が嬉しくないですか?
太田 そういう方もいらっしゃると思いますが、結局は患者様のためにもなりませんよね。お互いに自分の首を絞めることになります。
「なんだ太田は意地張って、頭カタいな」って言われちゃうかも知れませんけど(笑)
――― いえいえ、すみません。そうあるべきだと思います。
太田 湘南つなぐ鍼灸接骨院は、患者様になにかあったときに最初に相談をしてもらえるような場所でありたいんです。
だから患者様を裏切るようなことはできないですし、自分にも正直でありたいと思っています。
■人生の転機
――― 茅ヶ崎で開業されるまでの経緯を伺えますか。
太田 まずこの仕事を選ぶ上で、転機となった出来事が二つありました。
一つは「ネフローゼ症候群」という珍しい病気にかかって、小学校2年生~6年生まで運動制限があったこと。
そして中学校3年生のときに高校推薦を狙っていたバスケットの大会直前に怪我をしてしまったことです。
↓中学生の頃の太田先生(引用元:note)
――― 子どもの頃からご自身の体と向き合う機会が多かったのですね。
太田 そうですね。怪我の治療でお世話になった先生を見て、自分も将来こういう仕事に就きたいと思いました。
専門学校に通ったあと大手の整骨院で働くようになってからは、医院長やエリアマネージャーなども任せていただくようになったのですが、やはり直接患者様と向き合いたい気持ちがあったので、茅ヶ崎で独立することを選びました。
■発信を通じて地域とつながる
――― 太田先生が茅ヶ崎で独立されたのは出身地だからですか。
太田 そうですね。ただ駅の北側で育ったので、南側の雄三通り沿いで開業できたのはすごく新鮮な気持ちでした。
――― 店舗展開なども考えられているのでしょうか。
太田 いまは地域に根付くことだけを考えています。
雄三通りには魚卓さんのような魅力的なお店や店主さんがたくさんいますから、一緒に盛り上げていきたいですね。
――― 最近はYouTubeやnoteなど、発信も強化されていますよね。
↓CIELOフットボールクラブの森谷純司さんと共に。
太田 そうですね。新型コロナをきっかけに、自分がやるべきことを改めて考えるようになりました。
たとえば在宅ワークをする方が増える中で、身体の不調を訴える方も増えていますよね。そんなときに私の知識や経験を皆さんにシェアすることが、お役に立てれば良いなと思っています。
――― 太田先生は鍼灸、接骨院、トレーナーそれぞれの多角的な視点がおありですもんね。
太田 発信の仕方はまだまだ勉強中ですが…これによって地域とまた新たなつながりができるかも知れません。
私の発信を見てくださった方が、患者様として湘南つなぐ鍼灸接骨院にはいらっしゃらなくても、健康になるお手伝いができたら嬉しいです。
――― 太田先生の人柄がよくわかるお話でした。インタビューは以上です。ありがとうございました。
↓湘南つなぐ鍼灸接骨院の外観
(おしまい)
▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
2015年に茅ヶ崎市に移住し、2017年に「エキウミ」を立ち上げる。東海岸商店会の公式サイトの運営や、m'no【エムノ】のWEBマーケ、記事の寄稿も行う(SUUMOタウン、Gyoppy!、ARUHIマガジン、SPOTほか)。
▼編集アシスタント 青木亨太
1987年生まれ。小学生の頃茅ヶ崎に移住し現在まで25年間を茅ヶ崎で過ごす。幼少期の天然パーマが災いし、リーゼントを語源とした「リーゼン」という珍しいニックネームを命名される。30を超えた今も特殊なあだ名で呼ばれるが、平凡かつ普通のサラリーマンとして日々を過ごす。地域メディア運営に興味を持ち2019年より参加。
▼編集アシスタント かんばやし ちえこ(Instagram/Facebook)
1988年東京都足立区生まれ。2015年に茅ヶ崎のシェアハウスへ移住後、そこで出会った夫と2018年に結婚し、現在は茅ヶ崎の海側でゆったりと二人暮らし。
大学卒業後に保育園運営会社で食育や野菜栽培研修の講師などに従事。その後、親子カフェベンチャーやNPOで学童保育運営、民間貸し農園ベンチャーで農園アドバイザーなど、20代は子ども×食農関係の分野で経験を積む。
▼編集アシスタント 佐藤真司(Facebook)
1975年2月28日、神奈川県横浜市生まれ。小学校から高校まで野球、大学ではアメリカンフットボールの体育会系!生まれも育ちも横浜であったが、東日本大震災を機に宮城県石巻市に移住し、4年間復興支援を行う。はじめての地方暮らしを経験し、人の温かさ、繋がりを経験し、いまは茅ヶ崎での心豊かな生活を目指している。
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