【魚卓の浅見卓也さん】会話がどんどん生まれるようなことをしていきたい
「雄三通りで会えるあの人」という連載を始めるにあたり、1人目はひときわ存在感のある方にご登場いただきたいと思いました。株式会社魚卓の代表取締役社長、浅見卓也さんです。
「お客さんと話すのが大好き」という浅見さん。まだ話をしたことのない方が、話しかけるきっかけになるようなインタビューをお届けいたします。(全6回)
▼浅見卓也(あさみ たくや)さんの経歴
1973年、茅ヶ崎市中海岸生まれ。茅ヶ崎第一中学校卒業後、15歳から株式会社魚喜で勤め始め、36歳で鮮魚・青果を扱う株式会社魚卓を設立。茅ヶ崎駅南口の雄三通りにある本店のほか、茅ヶ崎駅北口や辻堂にも店舗を展開。
現在は茅ヶ崎駅南口から海に続く雄三通りを盛り上げる取り組み「雄三通りスマイルプロジェクト」の代表を務めている。
―――浅見さんは生まれも育ちも茅ヶ崎ですよね。
浅見 はい。茅ヶ崎の中海岸にある「蘭」っていう飲み屋兼ラーメン屋みたいなお店があるんですけど、そこで生まれ育ちました。
僕はひとりっ子で、家にはおふくろしかいませんでした。
――― 子どもの頃から客商売の空気を吸って育ったんですね。
浅見 そうですね。小学生の頃からお店に出て、お客さんとか近所の人と話して。だから地域の人たちみんな知り合いみたいな感覚があります。ちょっと歩けば「こんにちは!」みたいなのがしょっちゅうある。
だから魚卓も地元で始められて良かったです。地元でやっていると、自分が知らないうちに応援してくれる人たちがいるから、ありがたいし、余計に失礼があっちゃいけないと思ってやれます。
――― そもそも茅ヶ崎はお店とお客さんの距離が近いし、特に魚卓はお客さんとの距離が近いですよね。
浅見 やっぱり学校だって、友だちに会えるのが楽しいから行くっていうのがあるわけじゃないですか。お店に行くのも、そういうのがあった方が楽しいだろうなって。
もちろんお客さんはお客さんとして接しなきゃいけないんですけど、壁は作りたくないんですよ。だから本当は売り場と厨房の仕切りをなくしたいんだけど、保健所の関係でダメで。
――― 確かに、お寿司屋さんのカウンターみたいに、目の前で魚を切るところが見られたら良いですね。
浅見 はい。その方が美味しさも増しますよね。
やっぱり「タテ」の商売っていいじゃないですか。とれタテ、切りタテ、作りタテ。そのタテが見れるように、売り場と厨房の一体感を作りたいんですよね。
調理しているところが見れると、お客さんは安心するだろうし、あとは子どもが喜ぶんですよ。「今日はなんの魚がいるのー?」って子どもたちだけで来るようになったりして。
――― 魚屋さんに遊びに行く感覚。
浅見 そうそう。最近なんか魚関係なくて、うち事務所にカブトムシがたくさんいるんですけど、それ見せてくれって事務所に上がって来たりして。
そのきっかけが、伊勢海老欲しいっていうお客さんに、発泡スチロールの箱と酸素のブクブクをつけてイキの良いの渡したら、そのお子さんが嬉しかったらしくて、それで遊びに来るようになったんですよ。
――― それは絶対喜びますね。
浅見 そういう子どもたちを厨房に入れてあげて、魚の神経抜くところ見せてあげたら、「わー!」って喜んでくれたりして。そういう、会話がどんどん生まれるようなことをしていきたいんです。
例えば自分が店に出てない時に来てくれたお客さんがいて、次の日に僕が「昨日の美味しかったですか?」って聞いたら、きっと嬉しいし会話が弾むじゃないですか。「今日はこれがオススメですよ」っていう会話にも繋がるし。
――― お客さんと会話をするのが好きなんですね。
浅見 はい。やっぱり商売とは言え損得じゃないところが大事じゃないですか。
まあそうやって話をするのが好きじゃない方もいると思うんですけど、別に休みの日に遊んだり飲みに行ったりはしないにしろ、道歩いてて「こんちはー、こんちはー」っていうのがあるだけで良いなって思うんですよね。
昔からおふくろにラーメン屋で「挨拶しろ」って散々言われて育ったから、それが染みついてるんでしょうね。働いている仲間とも、朝の「おはよう」があるのとないのとじゃあ全然違いますもんね。
※↓子どもの頃の浅見さん(写真左)
――― 魚卓はいつ行っても賑やかです。
浅見 美容院とか接骨院とかで「いらっしゃい!いらっしゃい!」みたいなこと言うわけにはいかないですもんね。うちは魚屋だから、やっぱり活気があった方が良いじゃないですか。
――― はい。元気もらえます。
浅見 だからね、こっちも楽しみながら仕事してますよ。僕は中卒だし学がないんだけど、やりたいことやれて最高ですよ。
休みの日に家にいても、「もし今日仕事場にいたら、何人のお客さんに会えたのかなー」って考えます。毎日、何があるかわからないじゃないですか。どんな出会いがあるかとか、面白い話があったかもとか。知り合いが増えたはずだったんじゃないかとか。
――― 仕事が楽しくて仕方ないんですね。
浅見 ええ。それに、お金いただいて「ありがとう」って言われるなんて、ありがたい仕事ですよ。ほんとに。
(次回につづく→中卒の悪ガキ)
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▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
1986年生まれ。2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。
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