【ヴァイオリニストの仁多理恵さん】ヴァイオリンで茅ヶ崎の音楽の裾野を広げたい。
茅ヶ崎に住むユニークな方を紹介する「茅ヶ崎で暮らす人」。今回はヴァイオリニストの仁多理恵さんにご登場いただきます。4歳から現在に至るまでヴァイオリンを続けてきた仁多さんが、いま感じていることのお話をぜひ最後までお読みください。
■スタンディングオベーションの景色
――― 仁多さんは茅ヶ崎でヴァイオリンの演奏や教室をされているんですよね。
仁多 はい。ヴァイオリンと、ヴィオラも教えています。
演奏はいろいろなパターンがあるのですが、「ピアノ・トリオ ル・クレール」という名前で東日本大震災のチャリティーコンサートを毎年開催したり、「アルバトロス合奏団」や「茅ヶ崎弦楽四重奏団」としても演奏をしたりしています。
↓画像右から2番目が仁多さん
――― これまでどんなところで演奏をされましたか。
仁多 思い出深いところですと、「サントリーホール」という音楽家にとって特別な場所があるのですが、その大ホールでカルテットとして演奏できたのはすごく良い経験でした。
↓サントリーホール(引用:公式サイト)
あとはオーケストラですと、著名な「カール・ジェンキンス」さん指揮の公演に立ち会わせていただいたのも、すごく刺激的でした。
――― 舞台の上からの景色というのは、すごいんでしょうね。
仁多 クラシックではあまりないのですが、スタンディングオベーションを舞台から見れたときの感動は大きいです。
ワーーー!っとお客様が立ち上がって、拍手をしてくださる。特別な体験です。
ただ、いまはコロナの影響でそもそも演奏会自体がなくなっていますので、出演料で生計を立てている方々はすごく大変な状況ですね。
■長く続けられたなら、好きということ。
――― 仁多さんは武蔵野音大をご卒業されてから、「読売新人演奏会」にご出演されていますよね。
仁多 あれは…卒業年次に限られたご褒美みたいなものですね(笑)
――― 調べたら、その演奏会は音大卒業生の中から優秀な人しか出られないと書いてありました。
仁多 いえいえ、私の学年は人数が少なかったので、運が良かっただけなんです。
私はただ長くお稽古を続けたというだけで、そこまでの情熱を持っていたわけでもないのであまり胸を張れなくて。
――― ご自身としてはそこが引っかかるのですね。
仁多 「私ってこれで良いんだろうか」って、ずっとモヤモヤしていたんです。
ただある時、叔父の友人から「長く続けられたなら、好きということなんじゃないですか」って言われたことがあって。
私には他になにもないし、そのヴァイオリンも「ただ長く続けただけ」だと思ってたのですが、その言葉ですごく救われました。
↓仁多さんがヴァイオリンで参加した絵本動画
■楽器演奏の上達には「心技体」が大切
――― ヴァイオリンの教室もやられているそうですが、どこで教えているのですか。
仁多 茅ヶ崎と東京で教えています。
茅ヶ崎では私の自宅で個人レッスンをすることもあれば、グループで練習したい方のところに伺うこともあります。
――― 教える上で、心がけていることはありますか。
仁多 私は中高生の頃に剣道を習っていたのですが、その時に教わった「心技体」という言葉が、今になってすごくしっくりきていて。
生徒さんに教えるときも、その日のコンディションを見て、技だけじゃなく体や心の部分もケアできるように心がけています。
――― たしかに楽器のレッスンは技を教わるイメージがありますね。
仁多 そうですよね。たとえば関節の使い方として、「ナンバ式骨体操」というのがあるんですね。
体をどう使えばヴァイオリンの演奏がスムーズになるのか、日本人に合った方法で教わることができるんです。
――― そういうのがあるんですね。
仁多 「天地人」とか、「守破離」とか、そういう剣道で教わったことが、いまになってヴァイオリンの演奏に活きてくるとは思わなかったです(笑)
↓演奏中の仁多さん
■音楽の裾野を広げたい
――― なんとなく、ヴァイオリンは敷居が高いイメージがあります。
仁多 私は小さいころからやっていたせいか、そういう認識がまったくないんです。
ヴァイオリンは小さな箱で、4本しか弦がない上に、人の体にくっつけて弾くのでそこまで大きな音が出ないんですよ。
小さくて持ち運びもできるし、子どもサイズもあるので、家で楽器を始めたいならすごく気軽に始められる楽器だと思います。
――― 大人になってからも始められますか。
仁多 もちろんです!大人から始める方がすごく多いんですよ。
いくつになっても、「やりたい!」と思ったときが始めるタイミングだと思います。
人と息を合わせて、合奏ができるとすごく楽しいですよ。
――― 楽器初心者でも始められそうな気がしてきました。
仁多 ぜひぜひ(笑)
実はここ茅ヶ崎には著名な演奏家の方々が多くいらっしゃるんです。
そういう素地がある土地ですから、その裾野を広げるお手伝いができたらと思っています。
――― とても素敵だと思います。インタビューは以上です。ありがとうございました。
(おしまい)
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