【ウィメンズアイの石本めぐみさん】たとえ不公平と言われても、被災地に女性のためのサポートチームは必要だった


(前回の記事はこちら → 「本来の力を発揮して欲しい。」被災地の女性をエンパワーメントするNPO法人


■たとえ不公平と言われても


――― ウィメンズアイの設立は東北の震災がきっかけとのことでしたが、もともとジェンダー問題について課題意識を持たれていたのでしょうか。


石本 そこは特別持っていなかったというか…実は、震災前はあまり考えたことがありませんでした。

そもそも震災前の2011年当時、アジアのNGOで働こうと思っていたんです。


――― ではその頃に震災がなければ、海外で働いていたかも知れないんですね。


石本 そうなんです。そのための準備も進めていて、働いていた職場に退職の申し出も済ませてありました。

ただやっぱり震災があってから、何もせず普通の生活を送るのはちょっと無理だと思って。


――― いてもたってもいられなかった。


石本 はい。それで被災地入りして、「なんでも良いからボランティアをさせてください」って。

そこで指示されたことをやっているうちに、災害支援団体の代表から「めぐみさん、女性向けに特化した支援のチームが必要だからやって欲しい」と打診をされたんです。


↓2011年4月、宮城県石巻市にてアジアNGOリーダー塾の仲間と(引用元:ブログ

――― それで「ウィメンズアイ」の前身団体「RQ被災地女性支援センター」が設立されたんですね。


石本 はい。ボランティア仲間と一緒につくりました。

公の組織だとどうしても公平性が求められます。わたしが参加した災害支援団体では、たとえ不公平と言われても、その時に必要な人に必要な支援を提供していました。

また、災害弱者と呼ばれる障がいを持った方、乳幼児や介護が必要な高齢者などのケアをしていた多くは女性たちでした。ほとんどの避難所のリーダーが男性だったこともあり、女性に特化したサポートチームが必要だったんです。


■一般人だからできること


――― 女性特有の課題といえば、女性用下着や生理用品の問題などは聞いたことがあります。


石本 そうですね。あとは地域性もあったのかもしれません。東北の方々はあまり主張をされないというか、「みんなも我慢してるから自分も我慢しないと」と言われる方が多かったんです。

だから余計になんとか力になりたいという気持ちが強かったですね。


↓2011年8月、被災地にて(引用元:ブログ


――― 石本さんのお話を聞いていて思うのは、ジェンダーの問題についてフラットな方が女性の課題解決に取り組んでいるのが不思議な感じがしました。


石本 そうですか? 避難所に調査に来られた専門家の方から「よく“RQ被災地女性支援センター”なんて名前にしましたね」と言われたことがありました(笑)

団体名に女性支援なんてつけると拒否反応が出る人がいるから、そういう名称をつけることを躊躇される方が多いそうなんです。


――― それは象徴的なエピソードですね。むしろフラットだからこそ、わかりやすい名前を付けられたという。


石本 その名前にした理由は、被災地では団体名だけで何者かすぐに分かる方が、都合が良かっただけなんです。

ジェンダー課題については、その後、実際に自分が直面したり地域の女性たちから聞いたり、試行錯誤しながら、その時その場所で必要な課題に取り組んできました。

災害のエキスパートでも、ジェンダーの専門家でもありませんでしたが、被災地においては一般人的な感覚でいたからこそできたことも多かった気がします。


■エンパワーメントの原体験


――― 最後に、石本さんが今後やっていきたいことについて伺えますか。


石本 女性のリーダシップやエンパワーメントのワークショップ経験をこの9年間積んできたので、そのノウハウを共有していきたいです。


――― やはり被災地支援での活動が原点ですか。


石本 もちろんそれもありますが、実はもっと以前に人生の価値観が変わるような経験があって。

当時勤めていたGEという会社で、児童養護施設で生活する高校生とのCSRプロジェクトがあったんですね。

つらい話ですが児童養護施設にいる子どもたちは、虐待経験のある子が増えているそうです。大人を信じられなかったり、自分の未来に希望を持っていない子が多いんです。


――― ごまかしが通用しない子たちですね。


石本 通用しませんね。本気で、真正面から対峙しないといけない。

その研修自体は3ヶ月のプログラムだったんですけど、「どうせ高校を卒業したら行くところなんてない」という子もいました。

プログラムの一環で高校生たちに英語を学ぶ機会を提供していたのですが、その中の一人が、英語の勉強を継続したいと言ってくれて。

児童養護施設のスタッフの方と相談して、彼女との個人レッスンをすることにしたんです。


――― なんと。延長したんですか。


石本 はい。結果的に2年間、毎月英語を教えながら彼女といろいろな話をしたんです。

「こんな道もあるよ」とか、「あなたはここが良いところだね」とか、そうやってやり取りを続けて。


――― 2年間も…その後彼女はどうなったのでしょうか。


石本 高校を卒業してからは、奨学金をもらって短大に行き、バイトもしながら大学に編入して、旅行会社で働く夢を叶えたんです。

人って機会があって、自分ができると思えれば変わることができる。そんな彼女を見て私も一歩前に踏み出す力をもらえたんです。


――― すごい話ですね…それがいまのリーダーシップ研修の原体験になっているんですね。


石本 はい。ですのでエンパワーメントの力を信じていますし、それを構築するワークショップや研修の運営経験もみんなに共有したいんです。


――― とても学びの深いお話でした。インタビューは以上です。ありがとうございました。


(おしまい)



▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter

2015年に茅ヶ崎市に移住し、2017年に「エキウミ」を立ち上げる。東海岸商店会の公式サイトの運営や、m'no【エムノ】のWEBマーケ、記事の寄稿も行う(SUUMOタウンGyoppy!ARUHIマガジンSPOTほか)。


▼編集 茅ヶ崎ポニーさん

東京板橋生まれ、横浜市戸塚育ち。2014年秋より茅ヶ崎暮らし。私的テーマは「まちとひと」「想いとルーツ」。『茅ヶ崎は 人も道も フラットなところ』が口ぐせ。しごとは、インターネットの企画や営業を10年ほど。ペンネームは小学生時代の弱小野球チーム「ポニーズ」から。


▼編集アシスタント 青木亨太

1987年生まれ。小学生の頃茅ヶ崎に移住し現在まで25年間を茅ヶ崎で過ごす。幼少期の天然パーマが災いし、リーゼントを語源とした「リーゼン」という珍しいニックネームを命名される。30を超えた今も特殊なあだ名で呼ばれるが、平凡かつ普通のサラリーマンとして日々を過ごす。地域メディア運営に興味を持ち2019年より参加。


▼編集アシスタント 権藤勇太

エキウミインタビュー担当。平日は都内で法人向けの業務改善提案を行う営業マン。休日は緑に囲まれた茅ヶ崎で畑をいじったり、キャンプしたりフットサルをしたりのんびり生活をしている。消防団に入ったことをきっかけに、自分が使うお金がどこに流れて回っていくのか興味をもち商店街の活性化に2018年参加。


▼編集アシスタント 野口裕貴

「エキウミ」の動画・文章編集班。Web関連企業にてエンジニアとして従事。技術講師として教育事業も行う。現在は都内在住だが、何らかの形で茅ヶ崎に拠点を置きたいと思っている。

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