【 Ocean's Love(オーシャンズラブ)】障がい児向けサーフィンスクールをやってみたら、みんなが笑顔になった。伊東“あびる”花江さんと伊藤良師さん

茅ヶ崎に貢献する方を紹介する「Think Chigasaki」。今回は障がい児のためのサーフィンスクール「Ocean's Love(オーシャンズラブ)」の伊東“あびる”花江さん(あびる)と、伊藤良師さん(イトーマン)にご登場いただきます。

いいこと(=関わるすべての人が喜びを共有できること)を始めるだけでなく、続けることの大切さについて考えるきっかけになるお話ですので、ぜひ最後までお読みください。



■みんなが笑顔になる Ocean's Loveの活動とは


――― 本日はどうぞよろしくお願いします。


イトーマン こちらこそ、よろしくお願いします。


――― 最初に、Ocean's Loveの活動について教えてください。


イトーマン Ocean's Loveは、ノーマライゼーションの社会づくりを理念に、2005年から活動している団体です。

主には、知的障がい児・発達障がい児を対象にしたサーフィンスクールを開催しています。


――― サーフィンスクールでは、どんなことをするんでしょうか。


イトーマン 1人のお子さんと4,5人の大人がグループになって、一緒にサーフィンをしたり、お昼ごはんを食べたり、遊んだりして一日を過ごします。

子どもたちがパッと笑顔になると、それを見ている親御さんも笑顔になって、ボランティアさんも笑顔になる。

笑顔の連鎖が自然に起きるのがOcean's Loveのいいところだと思っています。



――― すてきな笑顔ですね。


イトーマン そうなんです。もともとスポーツ関連の会社で働きながら、ボランティアとして活動には参加していたんですが、子どもたちの笑顔にやられちゃって。


――― なんだか分かります。


イトーマン 気付いたらOcean's Loveのことばっかり考えるようになってて。

今から4年くらい前ですが、そんな状態の僕に「Ocean's Loveのスタッフにならない?」って声を掛けていただいて。


――― まさか?


イトーマン すぐにスタッフになりました(笑)


――― 笑顔と海のパワーが、私の想像を超えちゃってます(笑)


イトーマン ただ、スタッフになると、子どもたちの笑顔を見たいという気持ちだけじゃなくて、安全に楽しい一日を過ごせるような体制と運営を第一にやっています。

これまで無事故で運営できているのも、こうした体制やボランティアさんのおかげだと思っています。


■日常の中でも、チャレンジできる環境を


――― サーフィンスクール中、ご家族はどうされているのですか。


イトーマン ご家族には、少し離れた所からお子さんのチャレンジを見てもらっています。

自分の子がこんなこともできるんだというのを感じてもらうことで、普段の生活に戻ってからも「何かにチャレンジしてもらいたい、チャレンジする環境を作ってもらいたい」と願っています。


――― これまでどのくらいの方が参加されたんですか。


イトーマン 15年間で延べ2,000名のお子さんと8,000名のボランティアにご参加いただき、全国10か所で開催しています。


――― 想像以上の規模でした。


イトーマン サーフィンスクール以外にも、「お仕事体験会」という就労支援プログラムと、冬に「スポーツイベント」をやっています。


――― 一見、分野がかなり違うような気もしますが。


イトーマン 15年間活動していると、最初の頃に小学生だった子が大人に成長していくんですね。その中で、「なかなか社会に馴染めない」とか、「働くことができない」という現実がありました。


――― 活動される中で課題が見えたんですね。


イトーマン こうした課題にも継続的に関わっていきたいと思って始めたのがお仕事体験会です。

サポート企業に協力していただいて、ハワイアンレストランやアパレルブランド、企業の事務などの仕事を体験して、自分に合った仕事を見つける機会になっています。

エキウミでも紹介されていた「ゆうゆう保育園」さんにも、お世話になっています。


――― 関係する方々の理解があってこその活動ですね。



イトーマン 私たちはノーマライゼーションの社会づくりを目指して活動しています。

ですから障がいへの理解の輪を広げるため、2013年から福祉の専門家やスクールに参加いただいた親御さんのお話を伺う勉強会もやっています。


■想いをみんなで共有することから、始まった


――― Ocean's Loveの活動を始めたきっかけは何だったんでしょうか。


あびる Ocean's Loveの事務を担当しているあびるです。

活動を始めた2005年当時は、ハワイのサーフブランドの日本チームに在籍する会社員でした。

そのプロライダーだったアンジェラさんから、当時の私の上司に、障がい児のためのサーフィンスクールをやりたいという提案があったことがきっかけでした。


――― ご自身の仕事の1つとして始まったんですね。


あびる そうですね。当時は、お客様向けのサーフィンスクールの企画もやっていたので、アンジェラさんの熱い想いを聞いて、なんとか形にしたいと思いました。


――― 同じサーフィンスクールでも、障がい児のためのスクールを企画することについて、とまどいはなかったですか。


あびる 私はアンジェラさんからお話をいただく1年半前に病気で父を亡くしたんです。

看病する中で「人って突然、障がい者になるんだ」っていう驚きというか、気付きがありました。

それなので、初めて話を聞いたときも、仕事なんだけど、「これは頑張んなきゃ」という使命感みたいなものを感じました。


――― ご自身にも共感できるベースがあったので、実現できたんですね。


あびる それが、最初はなかなか思うようにいかなくて。

県内の特別支援学校や障がい者施設を回ったのですが、やったことがないから難しいということで断られ続けてしまって。

その上、ちょうど夏頃だったので、他の仕事も本当に忙しくて。。


――― あきらめようとは思わなかったんですか。


あびる 本当に困って、もう無理かもしれないと思っていました。

その時たまたま、私の隣の席で仕事をしていた子が、横浜市にある社会福祉法人光風会の知的障がい児施設「すみれ園」につないでくれたんです。

「あまりに見かねた」と言って(笑)


――― 最後の頼みの綱ですね。


あびる そこで園長さんにお話をしたら、「これは大切な活動だ」と言って下さり、そこから2か月ほどで一気に話が進みました。


――― すごい園長さんですね。


あびる 当然すみれ園の中でも、「子どもたちは海に行ったことがないし、もし何かあったらどうするんだ」っていう声はあったみたいです。

それでも園長さんが、「海に行ったことがないからこそ、子どもたちには海で楽しんで欲しい」、「何より外部との接点を作っていかないといけない」という思いで、話を進めて下さったみたいです。


――― お互いやったことがないのに、一緒にはじめの一歩を踏み出せたのは、すごいことですね。


あびる 最初のスクールの後、先生方からは、「子どもたちが、自分の気持ちを言葉や態度で出せるようになった。自己表現ができるようなった」と目に見えて変化があったと言ってくださって。そのご縁が今も続いています。


――― インタビューの後半では、これからの Ocean's Love の活動について詳しく伺っていきたいと思います。


(次回につづく)




【 Ocean's Love(オーシャンズラブ)】伊東“あびる”花江さんと伊藤良師さん

障がい児向けサーフィンスクールをやってみたら、みんなが笑顔になった。

・「子どもたちと一緒に成長していきたい。」




▼インタビュー・編集 井上普文(Facebook

三重県出身。2014年に茅ヶ崎市に移住。コミュニティバスに貼られていたポスターを見てエキウミの読者に。茅ヶ崎で暮らす者として、茅ヶ崎のヒト・コトをもっと知りたいと思い「エキウミ」に参加。

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