【日日器の南かれんさん】分からないままでも、はじめることが出来る
(前回の記事はこちら → 「うはちんち」に遊びに来てもらう感覚で器を日常に取り込んでほしい)
■食器屋を継がないか
――― お店を始めるきっかけは何だったのでしょう
南 実はこのお店、以前も25年続いた食器屋だったんです。
店内の陳列棚や、テーブルも当時からのものを少しアレンジして残しています。
▼日日器の店内
――― 素敵ですね。
南 実家も海の近くで、当時はよくこのお店を母と利用していました。
その時、オーナーに食器屋をしたいと直接話したこともなかったのですが、なぜか私にお店を継がないかと声がかかって。
それも、やりたいなら1ヶ月以内に決めて、と急な依頼をもらい、急遽引き受けることにしました。
――― すごい急展開です。前職でも陶器を扱う仕事をされていたのですか。
南 完全に初心者です。
これまで広告代理店をメインでやっていたので、その仕事をやりながら始めた感じです。
――― そうだったのですね。
南 もともとインテリアや日本文化に関心があり、家具屋で働いていたり、茶道道具の販売をしたり。
ちゃんと就職っていうのもしたことがなくて。フラフラって(笑)
■気負いすぎずに、やってみる
――― 個人商店を初心者で始めるのって難しそうです。
南 お店を始めるまでは、正直はじめてのことだし頑張らないとって気が張ってましたね。家賃払えるのかなとか、不安で寝れない日も。
――― そうだったんですね
南 そんなときに、母に言われたんです。
そんな思いしてるなら、やめちゃえば?って。
――― お母さんから。
南 そう。その時、あーやめたら良いんだ。ってフッと気持ちが軽くなって。
気張らずに始めることが出来たし、いざやってみると家賃もちゃんと払えるじゃんって自信になりました。
▼日日器の外観
――― 統一感のあるお店です。どんな感じでお店をはじめたんですか?
南 前のお店のオーナーから、こうやって仕入れるのよって教えてもらっていたとはいえね。
最初はその人が持っていた陶器を全部買って、それを販売。
――― 全部購入ですか!
南 そこらへんも、ちゃんと調べないで始めちゃうって。すごいでしょ。(笑)
そこから徐々に自分好みのテイストが増えていった感じかな。
――― すごいです!
南 始めた頃は、自分の好きな作家さんに直接電話してみたり、インスタグラムからダイレクトメールをしてみたり。
あとは、いろんな作家さんと、こういうお店を繋げてくれる仲介業者がいて、そういった紹介からのスタートでしたね。
――― 今後の展望はあるのですか?
南 最近は新しいお店の、例えば日本料理店さんとかに器の提案をさせてもらってます。店内の器のコーディネートとかを、湘南エリア中心にやっていけたら良いな。
▼伊万里焼の招き猫(非売品)
■とにかく優しい人が多い
――― 南さんは、小さい頃からずっと茅ヶ崎に住まれているんですね。
南 おじいちゃんから茅ヶ崎で、父親と同じ中学校なんです。魚卓の浅見さんとか、中学校の先輩だし。
ちっちゃいときから知ってる人が今もたくさんいます。
――― 長年住まれて思う茅ヶ崎の良さってなんですか?
南 とにかく、優しい人が多い。この人はじめてあったっけ?って感じで皆しゃべるの。初対面なのに(笑)
人懐っこいというか、困ってると割とサッて手伝ってくれたり、紹介してくれたりとか。
――― 良いですね。
南 茅ヶ崎を出る機会はあったんです。
都内にマンション買うし、うちの会社においでって言われてたけど、茅ヶ崎から出たくないから断って。
――― ええ!
南 結婚前も、主人がドイツで仕事をしていたので、ドイツに住もうと提案されてました。
でも茅ヶ崎いたいから、良いってことにして(笑)
今はドイツが本社の日本の会社に務めてもらってます。
――― 地元愛を感じます。
南 のんびりした感じがね。他、住んだことないからわかんないけど。(笑)
■個々のお店が繋がる楽しさ
――― 雄三通りは、昔と今で違いますか?
南 みんな家に松が生えていたり、結構素敵でしたね。今はマンションとかが増えたけど。
――― 当時は、どんなお店が多かったのですか?
南 昔から個人商店ばっかりだったな。お魚屋さんにお皿持って行って、お刺身作ってもらって帰ってくるとか。本屋さんに本を配達してもらってたし。
ファミレスも無いから、appleとか幼稚園くらいから通ってたな。
――― 雄三通りを盛り上がるために、なにかアドバイスはありますか?
南 そうだな。「SDGs」の活動を精力的に頑張っている金丸さんっていう方がお友達で。
プラスチックのゴミを減らすために、雄三通りのb-grottoさんと共同で、パンを買いに行くための「カゴ」の販売を担当するんです。
――― 他店との協業ですか
南 そんなふうに個々のお店が繋がるっていうのはすごく楽しい。
この通りは、商店会が違うんですけど、それをなくしていきたいじゃないけど、絶対に商店会ごとにやらなきゃいけないってこともないと思う。
――― なるほど
南 まずはお店同士が仲良くつながって協力できれば、茅ヶ崎全体としても盛り上がるんじゃないかな。
――― 貴重な意見をいただきました。インタビューは以上です。ありがとうございました。
(おしまい)
▼インタビュー・編集 瀬野尾友美
東京出身。これまで他拠点でウェディングプランナー、ホテルでのコンサルタントを経験。仕事だけの人生ではなく、より豊かな暮らしに興味を持つ。昨年末に退職後、縁もゆかりもなかった茅ヶ崎に移住。住んで1週間で茅ヶ崎の虜に。茅ヶ崎のマチ、ヒトの魅力を発進したいと思い立ち「エキウミ」に参加。
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