【ホルグの加藤年紀さん】出る杭が打たれる環境で成果を出す人とは。スーパー公務員の共通点。
日本で活躍する方からお話を伺い、茅ヶ崎を盛り上げるアイディアをいただく「EKIUMI SPECIAL TALK」。今回は地方自治体を応援するメディア「Heroes of Local Government(以下、HOLG)」を運営する加藤年紀さんにご登場いただきます。活躍している地方自治体の首長や職員にスポットライトを当てることで、世の中を良くしていきたいと語る加藤さんのお話をぜひ最後までお読みください。(全3話)
■成果を出している地方公務員を取り上げるメディア
――― 本日はよろしくお願いします。
加藤 はい、よろしくお願いします。
――― まずは加藤さんのご活動についてお話しいただけますか。
加藤 全国の地方自治体で活躍する公務員や首長さんを取り上げるメディア「HOLG」を運営しています。
インタビューではその方の想いや成果の出し方について分析的に取り上げています。
――― 活躍と言っても様々だと思いますが、なにか基準はありますか。
加藤 よくメディアには派手な公務員が取り上げられているじゃないですか。
でも僕はあまりそういう面には興味がなくて、派手であろうとなかろうと成果を出している人に出ていただいています。
■民間と行政は前提が真逆
――― 加藤さんは全国の地方自治体について詳しいですよね。この「エキウミ」は茅ヶ崎のローカルメディアですが、なにか参考になる事例はありますか。
加藤 茅ヶ崎と言えば「サザン」と「海」のイメージが強いです。
たとえば「海」つながりで言えば千葉市の話は参考になるかもしれません。
――― 千葉市といえば熊谷俊人市長ですね。
加藤 はい、HOLGでも二度インタビューをさせていただいています。
千葉市には稲毛海浜公園という海岸沿いの公園がありますが、そこを民間と一緒に変革するチャレンジしているんですね。
また稲毛海岸では「レッドブル・エアレース」という大会も開いています。
――― 「公園」とか「海岸」を変革するのは、非常に難しいイメージがあります。
加藤 いずれも恐らくかなりの抵抗がある中で実現させていてすごいですよね。
保育園なんかもそうですが、いまって抵抗に負けて規制することも多くあるじゃないですか。
でも千葉市はむしろ規制を緩和しています。
――― なるほど。
加藤 行政が持っている土地は行政じゃないと活用できないわけですから、それを民間と手を組んで改革をするというのは良いことですよね。
――― 民間の手が入ると違いますか。
加藤 一概には言えませんが、民間はまず利益を出すことを考えるので持続性があります。
これって当たり前と思うかもしれませんが、行政はどう使うかに重きをおきます。
「まずお金がある」ところからのスタートなので、民間とは前提が違うんですよ。
――― 前提が真逆ですね。
加藤 他に民間と行政の違いでよく言われるのは、クビになることがないということです。
「自治体に安定してお金が入り、クビにならない」ならば、本来は投資や新しい施策のチャレンジがしやすいはずです。
でも、むしろ公務員はチャレンジがしづらいと言われていますよね。
――― たしかにそうですね。なぜですか。
加藤 一つ大きいと思っているのは地方自治体の歴史です。
2000年4月まで地方は国の下請けという役回りが多く、いま地方自治体の幹部層は「言われたことを間違えずにやる」という仕事のやり方を刷り込まれています。
だから若い世代が新しいことをしようとすると、「勝手なことをするな」という話になりやすい。
――― 全員がそうなるものでしょうか。
加藤 もちろん例外として支えてくれる上司もいます。
ただ、まだまだ出る杭を叩くことが多いのが実情で、その環境でも成果を出している例外的なスーパー公務員をHOLGでは取り上げているんです。
ただやっぱり彼らは組織の中で冷ややかな目で見られることも多いので、それを変えていきたいんですよね。
■成果を出す人には原体験がある
――― そういう環境でも成果を出せる例外的な人たちはなにが違うのでしょうか。
加藤 話をしていて感じるのは、課題を自分事としている人が成果を出していますね。
もちろんただただ優秀っていう人もいるんですけど、それよりも原体験と結びついた行動をしている人の方が多いです。
――― なるほど、スキルの前に想いがある人ですね。
加藤 先ほど言った通り役所は出る杭を打つ環境ですから、いくら優秀でも強い想いがないとやりきれません。
しかもおおよそ3年に一度部署移動があるので、余計に自分事にしづらいんですよ。
それでも変化を起こそうとする人は、腹の底から「こうあって欲しい」という強い想いがないと厳しいですよね。
――― なにか事件・事故がない限り、変化は起きにくい印象があります。
加藤 世論の力で物事が変わるっていうパターンもあると思いますけど、なにか言われる前に自発的に変えるというのはパワーが要ります。
千葉市の話に戻りますけど、「海岸」や「公園」という抵抗が強そうなところで、だれに言われるわけでもなく変革をするのは大変なことだったと思います。
――― なるほど。
加藤 茅ヶ崎も、いわゆる消滅都市でもなければ、財政破綻目前っていうわけでもない、むしろ全国的にも知名度があって魅力的な街というイメージがあります。
そんな中でもより魅力のある街に変えていきたいのであれば、その意思のある人が出てきたときに周りが邪魔をせず、しっかりバックアップできると良いですよね。
それは役所の中だけではなく、地域の民間人に対しても同じことが言えると思います。
――― 非常に面白いお話でした。次回は加藤さんが地方自治体を応援することにした理由について伺います。
(次回につづく → 自分はまったく世の中の役に立っていないんじゃないか)
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【EKIUMI SUPECIAL TALK】ホルグの加藤年紀さん
・第1話 出る杭が打たれる環境で成果を出す人とは。スーパー公務員の共通点。
・第2話 自分はまったく世の中の役に立っていないんじゃないか
・第3話 全国1788の地方自治体にノウハウを届けたい。地方公務員オンラインサロンという仕組み。
▼インタビュー・編集・動画制作 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。東海岸商店会の公式サイトの運営や、ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。
▼編集アシスタント 堀達也(Facebook)
1987年生まれ。平塚在住。2018年よりエキつくに参加 。大学卒業後、社会保険労務士事務所を経て藤沢の企業で総務経理として裏から支える仕事に従事。休日はホームページ制作のボランティアをしたり、パン屋巡りをしたり。カレーパン大好き。美味しいカレーパンを与えるとすぐになつく…かも。
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