【茅ヶ崎市役所 防災担当 藤田さん 小宮山さん】命をまもるために、まず準備できること。
▼藤田さんのご経歴(防災対策課 防災担当 係長)
住まいは茅ヶ崎市内。出身は神奈川県横浜市。まちの人たちとふれ合いを感じられる仕事に携わりたいと思い、住まいのある茅ヶ崎市役所へ入庁。野球場のある茅ヶ崎公園「海辺の朝市」など幾つかの担当を経て、現在は防災担当。茅ヶ崎市役所 入庁16年目。
▼小宮山さんのご経歴(防災対策課 防災担当)
出身は、桃の収穫量で全国の自治体で一位* になった山梨県笛吹市。大学入学を期に湘南エリアへ。大学卒業後に市役所へ入庁。入庁のきっかけは「大学時代より茅ヶ崎の人やまちが身近だったこと」と「両親が公務員として働く姿をみていたこと」。茅ヶ崎市役所 入庁 2年目。* 2006年 収穫量 全国一位
――― 本日はよろしくお願いします。
藤田さん 小宮山さん(以下 敬称略) よろしくお願いします。
■まちの防災対策課の役割
――― それでは早速ですが、防災対策課の主な役割を教えてもらえますか?
小宮山 防災対策課の担当として、「危機管理担当」「政策担当」「防災担当」の3つがあります。
↓防災対策課 小宮山さん
――― 具体的にどのようなものですか?
小宮山 まず「危機管理担当」は、全ての危機事態を所管し自然災害時には本部の運営等を行います。
メールや防災行政無線などのシステム管理も担当しています。
――― 防災行政無線は、暮らしの中でよく耳にしていますね。
小宮山 はい。続いて「政策担当」は、民間企業や関係機関、他自治体等との災害協定や本市の地域防災計画の作成等を行っています。
――― 全体的な枠組みの調整役ですね。
小宮山 そうですね。そして、私たち二人の担当は「防災担当」です。
――― 防災担当は、どのような役割ですか?
小宮山 まず、自主防災組織活動の支援など地域防災力の強化です。
また、公助として避難所の資材や物資等の整備などを行っています。
――― はい。
小宮山 他にも、市民への自助の防災啓発、防災訓練の支援や災害を想定した備蓄、台風・大雨の風水害などの災害時には市の対策の中枢を担っています。
藤田 関連して『タイムライン』と『マイ・タイムライン』の策定にも取り組んでいます。
↓防災対策課 藤田さん
■タイムラインという市の防災対応の流れ
藤田 タイムラインとは、災害時を想定してあらかじめ準備するタイムスケジュールのイメージです。
「発災までに、こういうことを事前にやっておかなければならない」ということをまとめています。
昨年(2019年)の台風第19号の経験も、策定にあたって大きな契機となりました。
――― タイムラインのメリットはどのようなものですか?
藤田 事前に想定や準備をしておくことで対応することが明確になり、災害時でも適切に対応できます。
人は誰でも目の前に災害が起こってしまったら...慌ててしまいますので。
――― そういうことですね。
藤田 このタイムラインは、市役所としての備えです。
■自分や家族の防災に関わるマイ・タイムライン
――― それでは、『マイ・タイムライン』とはどのようなものですか?
藤田 マイ・タイムラインとは「自分や家族として、計画を立てて防災対策をする」ものです。
――― 私たちが準備するためのものですね。
藤田 はい。これは、平成29年度より取り組んできました。
マイ・タイムラインの作成シートや使用時の注意点などは、市役所のホームページに詳しくまとめてあります。
――― 一度、見てみたいと思います。
↓マイ・タイムラインの記入例
■私たちがまずできるハザードマップと周囲の確認
――― 防災対策として、私たちがまずできることはなんでしょうか?
藤田 まずは、すべての方々にハザードマップを見ていただきたいです。
それにより、ご自身の地域はどういう災害リスクがあるか把握できます。
――― まずは、ハザードマップをみて災害のリスクの把握ですね。
藤田 はい。ハザードマップを見た後、一度ご自宅など生活のまわりを見渡して欲しいと思います。
まわりを見てみることで、住宅が密集している地域かどうか、近くに高い建物があるか、などのお住まいの地域ならではのリスクが見えてくることがあります。
■防災でいまお伝えしたいこと
――― 防災担当として、いま伝えたいことはありますか?
小宮山 いまであれば、避難時の新型コロナウイルス感染症対策についてですね。
――― 感染症対策で行うことは、どのようなことを行えばいいでしょうか?
小宮山 たとえば、みなさんが避難する時、感染症対策として日頃から行っていることをできる範囲で心がけていただきたいと考えております。
↓感染症対策の例
- 避難前に検温をしてからの避難
- 感染症対策用品を持参した避難(アルコール消毒液など)
- 食料だけでなく生活消耗品の備蓄
- 自宅が安全であれば屋内安全確保
小宮山 市としても、避難想定や備蓄対応を進めるようにしています。
――― 避難レベルは様々ありますが、避難することについて、どのような考え方をしたらよいでしょうか?
藤田 「避難」という字は、難(なん)を避けると書きますよね。
お住まいやお勤め先に、災害時にどのような難(なん)があるか、点検してみるとよいと思います。
例えば、状況に応じて自宅・マンションなどの二階に避難すれば緊急時には命が助かるなどご本人の地域ごと、環境ごとに考えることは大切です。
■台風大雨の水害対策について
藤田 これまでの災害への対策は、地震や津波が中心でした。
それぞれの地域における自主防災マニュアルなど、地震や津波をベースにしていることが多かったと思います。
――― その印象はあります。
藤田 市では、令和元年台風第19号の課題等をふまえ、地震対応だけでなく、水害時の避難所運営マニュアルなども必要だと認識して作成したところです。
――― 水害時の避難所運営マニュアルも作成されたのですね。
藤田 はい。地区防災の訓練では、平成30年前後より相模川沿いの柳島や萩園などのエリアで洪水に備えた訓練を実施するなど対策に取り組んでいます。
――― 以前より取り組んでいたのですね。
藤田 えぇ。台風第19号をふまえて、マニュアルも水害対応について整備してお伝えしています。
■命を守るために どうすればいいか
――― 水害対策や感染症対策のお話がありました。その他、子どもを育てる若い世帯とその防災についてはどのように思われますか?
藤田 子育てをされている世帯は忙しさもあり、「防災」という視点であまり目が配れていないのが現状のように思います。
――― 実際に私も含めてそうかも知れません。
藤田 ただ、実際に防災について聞いてみると、多くのみなさんが関心を持っていらっしゃることがわかります。
防災の情報は、知っていれば、いざというときに役に立ちます。
シンプルに「命を守るためにどうすればいいか」と考えてみるとわかりやすいです。
――― シンプルに命を守るためにと考えてみるわけですね。
藤田 はい。防災だからといって、漠然と抱える不安から「これも揃える、あれも揃える」のではなく、「必要なものだけ揃える」ということは大切です。
言いかえると「正しく恐れて 正しく備える」とも言えるかも知れません。
――― 私も防災について、必要なことを考えて備えをしたいと思います。
(次回へ続く)
〈参考情報〉記事関連の防災情報
1.防災マップ ※茅ヶ崎市のハザードマップ
https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/bosai/1001267/index.html
- 津波ハザードマップ
- 洪水(想定最大規模降雨 相模川版)土砂災害ハザードマップ
- 洪水(小出川・千ノ川・駒寄川および内水版)ハザードマップ
- 土砂災害ハザードマップ
2.国内ハザードマップ ※国土交通省の重ねるハザードマップ
▼インタビュー・編集 Sasaki Yohei
エキウミゆかりの茅ヶ崎で暮らしています。両親のルーツの岩手や、自身のルーツの横浜と同じく茅ヶ崎のまちに思い入れを感じています。「まちやひと」「想いやルーツ」を大切にしています。
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