料理もお店もスタイルは変えない。でも、いつも新しい。あれこれの多国籍創作料理 「arecole cuisine クーカイ」


雄三通りから一本入った路地を覗くと、オレンジ色の灯り。夜な夜な旨い料理の匂いを嗅ぎつけ人が集まる店がある。「arecole cuisine クーカイ」 だ。マスターが持つ日本料理の技術をベースに和・洋・中・エスニックを独創的にアレンジした多国籍創作料理。そのメニューの数を見ればその底力が伺える。コンセプトは「常に少しずつ、常に新しく。」開業して20年経ってもクオリティを落とさず、常に新しい発見をくれる人気店だ。



目を惹く大きいガラスの店内を覗けば、大きなシャンデリアが目に映りこみ、古い建物の雰囲気を活かした内装や、壁面のアンティーク小物や絵画など、印象的なアイテムが別世界を醸し出している。お店は常に手を加え続けているため古さは感じず、温かさのなかにもどこか新鮮さを感じる。





「カニチャークラブ」というファンがつくほどの人気メニュー“ずわい蟹とふわふわ玉子の炒飯”

クーカイに訪れたら、一度は楽しんでもらいたいのは「ずわい蟹とふわふわ玉子の炒飯」だ。マスターの三橋裕三さんが開業前に勤めていたお店の「まかない」から生まれ、メニュー化したところ大ヒット。だいぶ時が経った今でも「マスターの炒飯が食べたい!」とクーカイに足を運ぶお客さんがあとを絶たないほど。厨房から中華鍋と中華お玉の心地よい音。中華の料理人かと思うほどの手さばきで、ご飯をパラパラに炒め黄金色に仕上げ、具材も歯応えを残して色鮮やか。そこに贅沢に蟹身の入ったふんわり卵。そして、中華鍋の器と五徳の鍋敷きがなんとも愛おしい。このチャーハンのファンの間ではSNSにハッシュタグ「#カニチャークラブ」を付けてシェアするほど。ファンクラブが勝手できてしまうのも納得の一皿。





本場ベトナムで開眼し、クーカイオリジナルに進化した “チャーゾー” 

チャーゾーはベトナムの郷土料理(ベトナム南部ではチャーゾー、北部ではネムやネムザンと言う)。以前からお店のメニューとして提供していたが何か納得がいかず、本場ベトナムを訪問。その際に様々なチャーゾーに出会ったという。ベトナム南部では小ぶりでカニが入っていたり、北部では大きくてカットして提供したり、さらにお店ごとに味が違う。研究した結果、それぞれの「いいとこどり」をしてベトナム南部の食べ方をベースに、クーカイオリジナルのチャーゾーに磨きあげた。添えられたハーブで包み、ひと口頬張るとフレッシュなパクチー等のハーブの香りが、ぎゅうぎゅうに詰まったひき肉の肉々しさを受け止め、しっかりした食べ応えは至福。ハーブも現地の方が経営しているお店に自ら仕入れに行くなど、とことんこだわり抜いた逸品だ。




驚きの声があがる!魚屋・板前出身の目利きと技術が冴える看板メニュー“空海サラダ”

テーブルに提供された瞬間、客から「わーっ!」っと声があがるほどの、色鮮やかな魚介とフレッシュな野菜の山盛りサラダ。いかにも湘南らしいメニューだ。魚の種類はその日仕入れたもので7~9種類、ドレッシングも、ポン酢ベースにオリーブオイル、すりおろしのタマネギ、しょうが、しその葉、三温糖など、魚介も野菜も両方とも美味しく食べるための調合となっている。クーカイにはお刺身のメニューも豊富だが、「空海サラダ」の注文が多くて、もはやこのサラダのために魚を仕入れているぐらいだそう。ただし、お刺身の注文が入れば、「板前出身だから、ちゃんと作るし、負けないよ(笑)」とマスター。マスターの包丁捌きを知っている常連客は「やっぱり刺身は刺身で別で食べたい」と言わしめる程の腕前だ。その板前の経歴と魚の目利きを活かしたこのメニューは、クーカイ創業時からオーダー率が高く、その人気は20年後のいまも変わっていない。





「アレコレキュイジーヌ」の語源、脅威のメニュー数

厨房を一人で切り盛りする「マスター」こと、オーナーの三橋裕三さん。実家は鮮魚店、会席料理や多国籍料理店のキャリアを積んだその経験から創り出す料理は、和・洋・中・エスニックを独自の感性でアレンジした多国籍創作料理。そのメニューの種類は多いときでなんと約90種。


「世論のブームよりも、自分の中のブーム」、「自分が作りたい、食べたい料理を提供する」と言い切る料理人気質あふれるマスター。「アヒージョ」、「パクチー」、「空芯菜」など、今では定番となった多国籍の料理をオープン当初の20年前からメニューにラインナップさせていて、流行を先取りしていたのかも、と冗談交じりにマスターは語る。たしかにメニューブックをひと目見れば、このマイブームから生まれるメニュー開発のセンスは茅ヶ崎屈指と感じるほどだ。


だが、その裏側にはあくなき研究欲求があった。料理人としての直感とそのリサーチ力で休日にはほぼ必ず、飲食店をはじめ映画や美術館、よその街の商店街などに出かけ情報収集している。そこで受けた刺激が、クーカイオリジナルの創作料理に反映されているのかも知れない。さらには、お客さんからのリクエストもあって止められないメニューも含めて約90種に。 アレコレキュイジーヌという店名の冠になった言葉の語源は、アレコレ楽しめる90種という数字だけではない。マスターの料理人としての「美味しいから食べてみて」という精神から、料理と客と自分に真剣に向き合った結果の「アレコレ」なのかも知れない。





100年経ったとしても、「お店も料理も、品質は落とさない。スタイルは変えず、でもいつも新しく。」

クーカイに人気メニューが多い秘訣は?とマスターに聞くと、「少しずつ、ちょっとずつ、誰も気がつかないくらいの変化」と迷わず回答。驚くことに全てのメニューにおいて少しずつ進化し続けているというのだ。たとえば今回紹介した、空海サラダはドレッシングの配合を変え、開業した20年前とは違う味になっている。チャーゾーの香辛料も、カニチャーの具材・調味料も、少しずつ変わり以前とは違う味わいに進化させている。そのスタイルは変えず、約90種類のメニューがいつもどこかが新しいのだ。



料理はもちろんだが、お店も10年経ってすごく汚れてしまったから、一気に綺麗にリニューアルしようというよりも「10年経っても綺麗なまま保つ」という理念。 そのヒントになったのは、100年以上続くとある老舗和菓子屋さんだそうだ。100年続いているのにずっと同じ店構えだし、同じ味と思われているかも知れないけど、日々の掃除やメンテナンス、商 品の改善などを行い、創業当時と全く違うものになっている。それでいて変わらず客が絶えない。誰にも気が付かれずに少しずつ新しくしながらも、ブランドを守り続けている。クーカイもまた、客には見えない努力の中に、 20年続く品質を維持している秘訣があった。クーカイに訪れたら、是非再訪してみて欲しい。前に来た時とどこが変わったかを見つけるのも、楽しみのひとつだからだ。


(次回につづく→【STORY】 茅ヶ崎への想いと自分の本心と向き合い、生まれた「クーカイ」。


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▼arecole cuisine クーカイ

住所:〒253-0053 神奈川県茅ヶ崎市東海岸北2-1-4 1F/電話番号:0467-88-0805/営業時間:17:00~23:00(L.O 22:30) /定休日:水曜/公式サイトFacebookInstagramtwitter

※上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。





▼インタビュー・編集 宇野知行

茅ヶ崎生まれ、茅ヶ崎育ち。食関連のサイト運営会社にて飲食店の繁盛の秘訣を探り続け、飲食店向けの情報誌の編集、マーケティング、販促支援などに従事。料理だけでない飲食店の魅力や楽しみ方を伝えるのがポリシー。週末ライター時々、釣りバカ。


▼インタビュー 小野寺将人(Facebook / Twitter) 

2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。

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