【カナリヤの佐藤裕さん】「いずれ居酒屋じゃなくなるかも知れない」カナリヤの未来について。
(前回の記事はこちら → どれを頼んでも美味しい店。玄人も認める茅ヶ崎の料理人。)
■受験直前に料理の道へ転向
――― ひろしさんが料理に目覚めたのはいつ頃からですか。
佐藤 高校生のときに料理してみたら、「なんだよ親が作るより自分で作った方がうめーじゃん」ってなったときですかね(笑)
――― 気づいてしまったんですね(笑)
佐藤 大学受験のために代ゼミとか行って勉強してたんですけど、センター試験の手前で調理師学校に行くって決めたんです。
――― 親はびっくりしたでしょうね。
佐藤 いや泣いてました。
――― あぁ…
佐藤 周りは大学進学が多くて、別に調理師学校が悪いわけじゃないけどその時は落ちこぼれみたいな感じがありましたね。
■いずれ居酒屋じゃなくなるかも知れない
――― カナリヤを立ち上げるまではどんなお店で働かれていましたか。
佐藤 最初はガチガチのフレンチで、料理がめちゃくちゃ美味しかったのでそこでベースができた感じです。
そのあとはビストロで、次が茅ヶ崎のジャミンですね。
――― それでカナリヤを創業したのが…
佐藤 2018年4月なので、いま一年半ちょっとですね。
この店は居抜きで使ったんですけど、地下だから暗くならないようポップな黄色に統一したらいい感じになって。
それでカナリヤっていう名前に決めたんです。
↓カナリヤの内観(引用:カナリヤFacebook)
――― もうこの色しかないって感じですよね。
佐藤 結構ハマったんで良かったです。
茅ヶ崎のお店って調理場がクローズになっているとお客さんが定着しにくいんですよ。
そうじゃなくても定着してるところって、話せる人がホールにいたりとかで。
――― 要するにお店の人にファンがつくイメージですか。
佐藤 ですね。ここは店に入ってすぐ正面がカウンターだからめっちゃ良いですよ。
茅ヶ崎ってやっぱりお店の人とお客さんの距離が近いから、余計にそう思います。
↓カナリヤのカウンター(引用:カナリヤFacebook)
――― そういえば気になってたんですけど、階段のところに「居酒屋 カナリヤ」ってかいてあるじゃないですか。こちらって居酒屋さんなんですか?
佐藤 ああ、それは「居酒屋」って書いてあると誰でも来てくれるじゃないですか。
ビストロって書いちゃうと「ワイン飲まなきゃかなぁ」とか「洋食を食べる気分じゃないんだけど」みたいになっちゃうから。
――― なるほど。
佐藤 ただ、5年したら居酒屋じゃなくなるかも知れないですけどね。
その時にカレーにハマってたらカレー屋やりたいし、ラーメンにはまってたらラーメン屋やりたいし。
↓カナリヤのラーメン(引用:カナリヤFacebook)
――― 場所はここのままですか。
佐藤 そう、カナリヤっていう屋号と、場所はここで。
俺が飽きないことをずっとやっていたいだけなんで、もうそこは「すいません!」って感じで。
潰れないことが目標というか、ずっと料理を作っていたいだけなんですよ。
■浜降祭こそ茅ヶ崎名物
――― ひろしさんって神輿好きですよね。
佐藤 そうですね、あれは特別ですね…っていうと神輿の会の人に「お前全然来てねーだろ」って怒られちゃいますけど(笑)
――― 僕も移住者ですけど、あのコミュニティに入っていくのは勇気が要りませんか。
佐藤 俺の場合は飲み友達に「見るだけで良いからちょっと来て」って言われたのがきっかけですね。
でもやってみたらなんか楽しいっていうか、一体感があるっていうか。
あれやってるとコミュニケーションがめちゃめちゃ早いんですよ。
――― 神輿を担いでいる人同士のですか。
佐藤 そうそう、「神輿やってんの?」「やってるよ」「どこ?」「あそこ」「ああ俺はね…」っていうのでもう知り合いになれる。
しかも浜降祭なんかめちゃくちゃすごい祭りだと思いますよ。
もうあれ以上の茅ヶ崎名物はないんだから、警備とか大変で縮小しようみたいな意見を聞くともったいないなーって思うんですよね。
――― 浜降祭みたいなイベントはこれから作ろうとしても無理でしょうしね。
佐藤 そうですよ。茅ヶ崎のブランドイメージ上げられるイベントは続けないと。
あとは…まあ神事だから難しい部分もあると思うんですけど、もっと地元にお金が落ちるようにできたら良いですよね。
――― たしかに早朝に見に来て、すぐ帰っちゃうイメージはあります。
佐藤 せっかくあれだけの人が集まっているんで、近くで地元の飲食店も屋台を出せるようにして、ステージとか設けて、夕方まで楽しめた方が絶対良いじゃないですか。
なんなら、浜降祭って海の日の月曜なんで土日月の3Daysにしてもっと外から観光客を呼ぶとか、いろいろ考えられますよね。
↓神輿を担ぐひろしさん(引用:カナリヤInstagram)
■雄三通りを盛り上げるには
――― 最後に、この「エキウミ」は雄三通りを拠点としていますが、雄三通りを盛り上げることについてなにかご意見ありますか。
佐藤 道を盛り上げたいって気持ちはあるんですけど、そもそも道を盛り上げるってめっちゃ難しいですよね。
特に雄三通りってすっごいハンデがあると思うですよ。
――― 雄三通りのハンデってなんですか。
佐藤 道幅です。中途半端に広いから、歩道が狭くてバスが通っちゃってるっていう。
もっと道が狭いと規制かけなくても半歩行者天国みたいになるんですけどね。
――― イベントなんかで盛り上げるっていう意味では、相当なハンデですね。
佐藤 そもそも商店街ってその人の生活感の中に入ってなかったら使わないものだし、じゃあそこに属している人たちだけで盛り上がれるかと言えばそうもいかないってなると、やっぱ雄三通り自体が楽しいっていう認識をみんなにに持ってもらうのが大事ですよね。
――― 雄三通りが目的地にならないといけないと。
佐藤 だから週一回でも月一回でも出店(でみせ)をするなりして、人が集まる形を見せていけると良いですよね。
「今日は木曜だから雄三通り通って帰ろう」みたいな空気が作れたら楽しいじゃないですか。
――― それめっちゃ良いと思います。
佐藤 「それ絶対無理じゃん」とか「本当にそれやっちゃうの」ぐらいのことをゴールにすれば、その過程でおもしろいものはできていくと思うんで。
うちもできることは全然なんでもやりますよ。
――― 最後に頼もしいお言葉もいただけました。インタビューは以上です。ありがとうございました。
(おしまい)
▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
2015年に茅ヶ崎市に移住し、2017年に「エキウミ」を立ち上げる。東海岸商店会の公式サイトの運営や、アクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティング、記事の寄稿も行う(SUUMOタウン「まだ茅ヶ崎に行ったことのないあなたへ」、Gyoppy!「スーパーにはない魚が買える」茅ヶ崎の人気鮮魚店が果たしている大事な役割)。
▼編集アシスタント 権藤勇太
エキウミインタビュー担当。平日は都内で法人向けの業務改善提案を行う営業マン。休日は緑に囲まれた茅ヶ崎で畑をいじったり、キャンプしたりフットサルをしたりのんびり生活をしている。消防団に入ったことをきっかけに、自分が使うお金がどこに流れて回っていくのか興味をもち商店街の活性化に2018年参加。
▼編集アシスタント 横山 寛
湘南在住12年。19歳の時に始めた藤沢の無印良品でアルバイトをきっかけに湘南を離れられず今にいたる。インテリア、住空間作りの仕事で15年働きながら自分の町にどう関われるか役割を模索している中エキウミと出会い参加。おじさんが夢を語る場「へんなおじさん会」を定期開催中。
0コメント