【オステリア エ ボッテガ エッセの澤井博之さん】“手作りのモッツァレラチーズを知ってもらいたい” 1年間歩きまわってたどり着いた茅ヶ崎の店。
雄三通りで働く人にお話を伺う「雄三通りで会えるあの人」。今回は「Osteria e Bottega S(オステリア エ ボッテガ エッセ)」(以下、エッセ)のオーナー澤井 博之さんにご登場いただきます。前半ではチーズとの出会いから茅ヶ崎でお店を開くまでのドラマを。後半では、茅ヶ崎の魅力とチーズに乗せた課題解決への思いを伺いました。ぜひ最後までお読みください。(全2話)
■イタリアで出会った手作りの味を日本へ
――― 本日はよろしくお願いします。
澤井 こちらこそ、よろしくお願いします。
――― では早速ですが、お店の簡単なご紹介をお話いただけますか。
澤井 はい。手作りのモッツァレラチーズと自然派ワインを取り扱ったイタリア料理のお店です。
↓手作りのモッツァレラチーズ
―――モッツァレラチーズはこのお店で作られているんですよね。
澤井 そうなんです。お店に工房があります。小さな工房ですけどね。
―――どんな思いから、モッツァレラチーズを手作りされているんですか。
澤井 スーパーなどで買える身近なモッツァレラチーズと手作りのモッツァレラチーズは作り方が違って、味や食感も違うんです。
最近モッツァレラチーズの知名度は上がってきたと思うんですけど、本当はこういうものだよというのも伝えていきたいなと思っています。
それにモッツァレラチーズは鮮度が大切なので、できたてがいいんですよね。
最高の状態でお客様に味わっていただきたいのでお店で手作りしています。
――― そんなに違うんですね。手作りのモッツァレラチーズを食べられるお店って初めて聞きました。
澤井 そうですね。こだわりのあるレストランでないと出していないですし、それでも工房から仕入れている場合が多いと思います。
――― なかなかないんですね。手作りのモッツァレラチーズと出会われたきっかけは何ですか。
澤井 出会いはイタリアですね。
専門学校を出てから地元の名古屋で10年、東京で10年とイタリアンのお店で働いていました。
20年イタリアンのお店で働いていたのに長期でイタリアに行ったことがなかったので、3年前に半年かけてイタリア全土を働きながら旅したんです。
――― 半年かけて。
澤井 そのときにプーリアというモッツァレラチーズが有名な街に2ヶ月滞在して、できたてのモッツアレラチーズを食べたんですが、これが本当に美味しくて。
日本に帰ったら作りたいと思ったんです。
↓イタリアでの写真。半年で全土をまわる旅はとってもハードだったそう。
――― 本場イタリアでの出会いがあったんですね。ではチーズ作りを学ばれたのもそれからということですか。
澤井 はい。イタリアから帰国後、今度は北海道のチーズ工房に行って修行させてもらいました。
↓北海道の工房で修行
――― その後にオープンされたのが今のお店「エッセ」ですか。
澤井 はい。そうですね。
■手作りチーズは無理? 難航した牧場探し
――― 名古屋と東京で働かれていたそうですが、なぜ茅ヶ崎でお店を開かれたのですか。
澤井 実は茅ヶ崎に行き着くまでがすごく大変だったんですよ。
チーズを手作りするには、新鮮な牛乳が欠かせないんですが、牛乳を個人のお店向けに少量で直卸ししてくれる牧場がなかなかなくて。
業界特有の規制があったりもして、東京と名古屋の牧場をいくつもあたったんですけど全然見つかりませんでした。
――― そんな壁があったんですね。
澤井 東京と名古屋を諦めて、当時住んでいた東京から近い、神奈川県で探し始めました。それでもやっぱり断られることが続いて。
もう無理かなと思い始めていたとき、最後の最後に出会ったのが今のお取引先の、横浜市瀬谷区にある牧場さんです。
――― 東京と名古屋で見つからず、神奈川でやっと見つかったんですね。
澤井 はい。牧場のオーナーさんがすごくいい方で、「目標を持って頑張っている人には、力になりたい」と言ってくださって。
牧場探しだけで半年かかりましたが、本当に出会えてよかったです。
■いよいよ開店と思いきや、道はまだ半分。
――― そうなると次は店舗探しですね。
澤井 そうですね。牧場がある瀬谷区から1時間圏内で、チーズの製造ができて飲食店としても成り立つ場所を探しました。
横浜はちょっと違うなと思って。
――― それは雰囲気的にですか。
澤井 そうです。そうです。それで横浜から南下しながら場所を探していきました。
全然土地勘がなかったのでひとつひとつの街を歩いてみて。
――― それはまたすごい旅の始まりですね。
澤井 そうなんです。これがまたなかなか見つからなくて。
半年かかってついに茅ヶ崎まで南下して来たんですよね。
そこで初めて茅ヶ崎の地に降りました。
――― 結構、南下されてきましたね。
澤井 もうこれ以上進むと牧場からの距離的に厳しいなというギリギリのところでしたね。
茅ヶ崎に降り立って、歩いたり、レンタサイクルを借りてまわったんですけど、すごく雰囲気がいいなあって。
――― すぐに気に入られたんですね。
澤井 ええ、ちょうどいいバランスだったんですよね。
街でもあり、田舎でもあり。住むにもいいし、お店をやるにもいい。横浜や都内へのアクセスもいい。
そう思って歩いていたら、ちょうどこの物件が空いているというチラシを目にしたんです。
問い合わせたらそこからはポンポンと話が進んで、無事にお店をオープンできました。
――― 1年に及ぶ旅の末に、茅ヶ崎との運命的な出会いが待っていたんですね。次回は茅ヶ崎に移住して1年経った現在のお話を伺います。
(次回につづく → チーズ作りで第一次産業や地域の活性化に貢献したい)
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▼インタビュー・編集 はつこ(Twitter/note/Instagram)
1995年生まれ。茅ヶ崎出身のフリーライター。大学卒業後、EC事業者に入社。2018年にフリーランスへ転身。主に商品やサービスの紹介記事を執筆。noteにてコラム、エッセイ、小説を更新。38℃を文章の設定温度とし、熱すぎず、半身浴のようにじんわりあたたまる伝え方を研究中。
▼編集アシスタント 権藤勇太
平日は都内で法人向けの業務改善提案を行う営業マン。休日は緑に囲まれた茅ヶ崎で畑をいじったり、キャンプしたりフットサルをしたりのんびり生活をしている。消防団に入ったことをきっかけに、自分が使うお金がどこに流れて回っていくのか興味をもち商店街の活性化に2018年参加。
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