「やっぱり、人なんですよ。」60年間、豆腐を作り続けるおばあちゃんが教えてくれたこと。
(前回の記事はこちら → “地域と関わる生き方”選ぶ人へ。堀口正裕さんがTURNSに込めた想いとは。)
■やっぱり、人なんですよ。
――― TURNSは”これからの地域とのつながりかた”を伝える上で、各地域でなにか仕掛けている人を取り上げていますよね。
堀口 そうなんです。やっぱり、人なんですよ。
いまいろんな地域で起きていることは、若い移住者が面白いことはじめて、その人たちが今度は地域の受け入れ側になって移住者を増やしているということなんです。
――― 人が人を呼んでいるんですね。
堀口 ここ数年、移住者側は震災をきっかけに「生きる力」みたいなことを考え続けていて、そういう力を持っている田舎のおじいちゃん・おばあちゃんに対する見方が変わってきました。
――― 生きる知恵がある人たちだと。
堀口 はい。そして受け入れ側の地元民たちは危機感が本当に強くなってきていて、「これまで通りではいけない」という意識を持ち始めている。
そうやって人と人が出会って生まれる地域のプロジェクトを取り上げることで、結果的にその地域のことが魅力的に伝わると思っています。
■60年間、豆腐を作り続けているおばあちゃん
――― 堀口さんは取材で全国を飛び回っていると思いますが、価値観が揺さぶられたことはありますか。
堀口 雑誌の記事にはしなかったのですが、いまでもすごく印象に残っていることがあって。
――― 気になります。
堀口 地方のラー油で有名なお店に伺ったときのことです。
そこのお店で仕入れている豆腐がすごく美味しかったので、「豆腐を作ってる人に会いたい」と伝えたら、とあるおばあちゃんを紹介してくれたんですね。
――― はい。
堀口 会いに行ったら、すぐに「あがりなさい」と言ってくれて、できたての豆腐を出してくれたんです。
そのときは2人で2時間くらい話したのかな。
東京に出た息子さんや娘さんのこととか、結構いろいろ話して。
――― ええ。
堀口 その話の中で、ぽつりとこうおっしゃったんです。
「毎日毎日、この豆腐作りを60年やってきたんですよ。でもね、いまでもそれが幸せなんですよ」と。
――― 60年間も同じことを続けてきた。
堀口 そう、60年ですよ。
60年同じことを続けられるということ、そしてそれがいまでも幸せと言えることの尊さにハッとさせられて。
一見、普通のおばあちゃんなんですけど、うちに秘めている強い軸というか、生命力を感じるじゃないですか。
その豆腐をいただきながら、これがプロフェッショナルなんだなぁと、涙が出るほど感動してしまったんです。
――― そこで価値観を揺さぶられたんですね。
堀口 そういう人たちが実は日本全国にいるんですよね。
でもそのほとんどは世の中に知られていないじゃないですか。
――― そうですよね。
堀口 こういう人たちの存在を知るというのはとても大事だと思っていて。
実際に、こういう人たちに感化された若い人たちが、この人のそばで何かやりたい、後を継ぎたい、といった動機で移住したり行動を起こしたりする。
地域でなにか面白いことが起きているとき、その中を覗くとこういう台風の目となる人がいるものなんです。
だからやっぱり、人なんですよね。
――― 象徴的なエピソードを教えていただきありがとうございました。次の最終話では、今後TURNSプロジェクトが目指す方向性について伺っていきたいと思います。
(次回につづく → 「プロジェクト人口を増やす。」TURNSが目指す地域の経済モデル変革とは。)
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【EKIUMI SPECIAL TALK】TURNSの堀口正裕さん
・第1話 “地域と関わる生き方”選ぶ人へ。堀口正裕さんがTURNSに込めた想いとは。
・第2話 「やっぱり、人なんですよ。」60年間、豆腐を作り続けるおばあちゃんが教えてくれたこと。
・第3話 「プロジェクト人口を増やす。」TURNSが目指す地域の経済モデル変革とは。
▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
2015年に茅ヶ崎市に移住し、2017年に「エキウミ」を立ち上げる。東海岸商店会の公式サイトの運営や、アクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティング、記事の寄稿も行う(SUUMOタウン「まだ茅ヶ崎に行ったことのないあなたへ」)。
▼編集 かんばやし ちえこ(Instagram/Facebook)
1988年東京都足立区生まれ。2015年に茅ヶ崎のシェアハウスへ移住後、そこで出会った夫と2018年に結婚し、現在は茅ヶ崎の海側でゆったりと二人暮らし。大学卒業後に保育園運営会社で食育や野菜栽培研修の講師などに従事。その後、親子カフェベンチャーやNPOで学童保育運営、民間貸し農園ベンチャーで農園アドバイザーなど、20代は子ども×食農関係の分野で経験を積む。
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