【シッピーノの田渕健悟さん】だれもできないことだから「面白い」
■ネットショップの運営を自動化でサポート
――― ではまず、田渕さんが代表を務める「シッピーノ」が、どんな会社かをお話いただけますか。
田渕 はい。社名にもなっている「シッピーノ」というWEBサービスを提供しています。
シッピーノは、主にネットショップ運営の業務を自動化するサービスです。
――― ネットショップ運営の業務とは具体的にどのようなことでしょうか。
田渕 ネットショップを運営されている方は、注文が入ると発送の準備をしたり、配送番号を確認して「発送しましたよ」というメールをお客様に送ったりします。
――― はい。
田渕 もし注文内容が間違っていれば修正をしたり…そういった雑務が延々と続くのでこれが結構手間なんですよね。
シッピーノがそういった雑務を巻き取ることで、運営者さんは販売や宣伝といったクリエイティブな業務に、より集中できるんです。
↓シッピーノで自動化できること
――― 私も仕事柄ネットショップの開設を自分でやってみたりするんですけど、もう初期設定でへこたれるというか(笑)。シッピーノさんでは、導入の部分もお手伝いいただけるんですよね。
田渕 そうですね。カスタマーチームが電話でアシストします。
商品とパソコンがあれば、数時間の操作でスタートできますよ。
■だれもできないことだから「面白い」
――― シッピーノを立ち上げる前はなにをされていたんですか。
田渕 最初はシステム会社に就職して、3年ほどSE(システムエンジニア)をやっていました。
辞めてから、友人が代表、私が取締役というかたちで会社を立ち上げて、これは4年ほど続けました。
――― 会社員を3年やって独立というと、早い時期での決断だったと思いますが、なにかきっかけがあったのでしょうか。
田渕 私は学生の頃からいつか起業をしたかったんですね。
当時ヤフオクがすごく好きで、自分でそんな仕組みを作れるようになるために、技術を勉強しようと思って就職しました。
――― 最初の起業から4年で再び独立されていますが、なにか考えが変わったんですか。
田渕 最初に立ち上げた会社は、本質的には起業ではなかったんですよね。
友人が代表者で、私は共同設立者であって。
一番近くで見ていると、代表ってすごく成長していくんですよ。
こんなに変わっていくものかと思うくらい、圧倒的に差がついてしまってこのままじゃだめだと。
――― なるほど。それでもういま度は自分が代表でやろうと、ご自身で起業されたんですね。
田渕 そうですね。最初は一人で、受託開発やアフィリエイトなどをやっていました。
アフィリエイトは結構収益が出ていたのですが、外部要因で収益が大きく変動してしまうんですよね。
そのサイクルが結構しんどくて、受託をメインに行うようになりました。
――― 受託を続けていくうちに、お客さまを獲得されて、いまのシッピーノに繋がったという流れですか。
田渕 そうなんですけど、受託って続けていると結構厳しいものがあって。
いつか自社サービスをつくりたいと思っていながらも、社員が増えるにつれて受託をどんどん辞められなくなるという、ジレンマがありました。
↓シッピーノのオフィス
――― そんな中で、いまのサービスに舵を切るポイントがあったのでしょうか。
田渕 あるお客さまから、「この作業って自動化できないですかね?」という相談を受けたところから始まりました。
どこに頼んでも「できない」と断られ続けて、うちに来たそうで。
――― なるほど。最後の砦ですね。でも、それは御社からしても難しいお話だったのではないですか。
田渕 そうですね。「そもそもできるのかな?」っていうところからのスタートでしたね(笑)。
――― 当時はまだだれもやっていないような、珍しいビジネスだったんですね。
田渕 そう、なので「面白いぞ」ってなって。
そこからサービスとして横展開していきました。
――― じゃあ、最初に相談があったお客さま以外に需要がある確信はなかったけど、いけるかもしれないという勘が働いて始めたんですね。
田渕 きっかけはそうですね。ただ、最初は苦労しましたよ。
始めの10社くらいは、トラブル頻発で毎日謝っていましたね。
でも、だんだんと「本当に助かった」という声をいただけるようになりました。
――― どんなことが有難がられましたか。
田渕 特に小さい業者さんだと、代表さん自らが配送まわりの作業をしていたり、繁忙期は社員さんやパートさんも休めなかったり、連休明けは溜まった注文を死ぬ気で対応したりと、かなり大変なんですよね。
その苦労が、シッピーノを使うことでゼロになるんですよ。
それはもう感動的な体験ですよね。
↓オフィスの入口
■もっと広い領域で架け橋となるサービスを
――― 今後のシッピーノの展開はどのように考えていますか。
田渕 いまはネットショップを運営している会社の業務を点と点で結ぶサービスをやっているんですね。
ただそれだけで成長しようと思うと、ちょっとお客さんの数が少ない領域で。
――― でも、ECってまだ市場としてはまだどんどん伸びるじゃないですか。その中で、もう一押し欲しいなっていうことですか。
田渕 そうですね。もう5押しくらい欲しいですね。
――― 5押し(笑)。そこまで行くには、母数が足りないんじゃないかってことですね。
田渕 はい。なので今後は「ネットショップを運営している会社」から「ネットショップに関わる業界」にサービスの対象を広げていきたいと思っています。
たとえば、倉庫と倉庫を結ぶとか。
――― 倉庫と倉庫を結ぶとはどういうことでしょうか。
田渕 ネットショップの業界って、ネット広告やマーケティングのサービスよりも、関係各所を繋ぐ連携の発展が遅れているんですよね。
それは物理的に物が動いて、人の手が必要になる業務の割合が他のIT系の業界より多いことも起因しているんですけど。
――― なるほど。確かに、各領域をそれぞれ伸ばしていこうというのはあっても、領域同士を繋げていくことを考えている人は少ないですよね。
田渕 ここは難しさもありますが、ネットショップの業界に関わる領域を、もっといろんな角度、広い範囲で繋いでいけたら面白くなるんじゃないかなと考えています。
――― これからもどんどん活躍の幅が広がっていくことがイメージできるお話でした。次回は茅ヶ崎との関係性を中心に伺っていければと思います。
(次回につづく → サザンビーチの目前で働けるIT企業)
→Facebook,Twitter,Instagramで「エキウミ」の最新情報を受け取れます!
▼インタビュー 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
2015年に茅ヶ崎市に移住し、2017年に「エキウミ」を立ち上げる。東海岸商店会の公式サイトの運営や、アクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティング、記事の寄稿も行う(SUUMOタウン「まだ茅ヶ崎に行ったことのないあなたへ」)。
▼編集 はつこ(Twitter/note/Instagram)
1995年生まれ。茅ヶ崎出身のフリーライター。大学卒業後、EC事業者に入社。2018年にフリーランスへ転身。主に商品やサービスの紹介記事を執筆。noteにてコラム、エッセイ、小説を更新。38℃を文章の設定温度とし、熱すぎず、半身浴のようにじんわりあたたまる伝え方を研究中。
▼編集アシスタント 青木亨太
1987年生まれ。小学生の頃茅ヶ崎に移住し現在まで25年間を茅ヶ崎で過ごす。幼少期の天然パーマが災いし、リーゼントを語源とした「リーゼン」という珍しいニックネームを命名される。30を超えた今も特殊なあだ名で呼ばれるが、平凡かつ普通のサラリーマンとして日々を過ごす。地域メディア運営に興味を持ち2019年より参加。
0コメント