【由紀精密の伊達令さん】ものづくりも、広報も強い町工場。
(前回の記事はこちら→なぜネジの町工場が航空宇宙の領域に舵を切れたのか。)
■東京の企業よりも茅ヶ崎の町工場を選んだ理由
――― 由紀精密さんで広報をされている伊達さんは、どうして茅ヶ崎の町工場を選ばれたのでしょうか。
伊達 私は法政大学のデザイン工学部卒なんですけども、そのときのインターン先が由紀精密だったんです。
――― なるほど。
伊達 教授がインターン先の候補リストを出してくださって、そのなかに由紀精密があったんですね。
WEBサイトを見てデザインにこだわっている印象を受けたので興味がわき、由紀精密を選びました。
↓インターンに訪れた頃の伊達さん
伊達 その後に就活の時期になって、ブランディングを手がけるような東京の企業を受けていたんですね。
その時に由紀精密の代表の大坪から声をかけていただいて。
――― 社長から直接スカウトされたんですね。
伊達 私としてはまずは企業でブランディングのノウハウを学んで、その後にどこかの会社の専属のブランドデザイナーになることを考えていました。
それを大坪に伝えたら、「それなら最初からうちで好き勝手やって、ノウハウつくったらどう」と言われて、入社を決めました。
■町工場のサイトリニューアル
――― ご入社後はなにをされたのでしょうか。
伊達 最初は新横浜のオフィス勤務だったんですけど、一年目の仕事としては、広報の仕事のかたわら由紀精密のサイトリニューアルも行いました。
コンセプトを決めて、ターゲットを定めて、サイトの導線やデザインを考えて、宣材写真を撮ったり文章もつくったりして…。
↓由紀精密のサイト
――― すべてご自身でやられたのですか!それは…すごいですね。
伊達 当時共に働いていた方と一緒につくりました。もともとデザインの勉強もしていましたし、考えることは好きだったので楽しかったのですが、やっぱり工場の現場にいる皆さんとのコミュニケーションは苦戦しました。
プロダクトにかける想いとか、そういうことを新横浜から来た新人が根掘り葉掘り聞くというのはハードルが高くて。
――― それはそうですよね。
伊達 そこで広報としてやっていくには自分も現場に入らないとだめだと痛感しました。
実はもともと一年目から現場に入りたいという話は大坪にしていたのですが、広報としての仕事が先決ということで入れなかったんですね。
それでも言い続けて、四年目にようやく現場に入れたんです。
■広報から念願の現場へ
――― 広報の仕事に慣れて、「もう現場に入らなくてもいいや」とはならなかったのですね。
伊達 まったくならなかったです。
四年目に現場に入るということになって茅ヶ崎で働くことになったんですけど、「やっと現場に入れた!」という思いもありもうすごく楽しくて!
――― そんなにですか(笑)
伊達 現場で油まみれになってものづくりをするというのは最高です。
一年間やらせてもらって、製造のプロセスをひと通り学ぶことができましたし、現場の人たちともスムーズにコミュニケーションが取れるようになりました。
↓現場時代の伊達さん
――― それは素晴らしいですね。なかなか真似できることではないと思います。
伊達 そのあと現場から広報に戻ったんですけど、あまりにこの工場と、人と、茅ヶ崎という地域が気に入ってしまったので、会社にお願いして新横浜のオフィスではなく茅ヶ崎に残らせてもらうことに成功しました。
――― あ、それでこのインタビューも茅ヶ崎で実施できたのですね。
伊達 はい。やっぱり茅ヶ崎の工場で働く従業員にとっても、茅ヶ崎の人たちに由紀精密の存在を知ってもらうことはすごく嬉しいことですので、こうして地域メディアからお声をかけていただくのはすごくありがたいです。
――― こちらこそありがとうございます。
伊達 茅ケ崎の学校からご依頼をいただき、子ども向けにワークショップをやらせていただくこともありますので、そういうお話もぜひご相談くださいね。
――― この「エキウミ」は雄三通りを拠点としているので、商店街とコラボしてイベントや商品開発ができたら面白そうですね。
■ものづくりも、広報も強い町工場
――― 最後に今後の展望を伺いたいのですが、まず会社として目指すところはありますか。
伊達 由紀精密が目指しているのは「ものづくりで世界を幸せにすること」です。
私たちの技術力が課題解決に役立てられる領域はいくつもあると思っていて、そういったことに取り組んでいきたいです。
――― 伊達さんご自身として今後の展望はございますか。
伊達 会社の話と繋がっていますが、こういう町工場はあまり広報に力をかけていないことが多いので、しっかりとそういう部分でも結果を出していきたいですね。
加えて、マネジメントの勉強もしてきたので経営にも関わっていけるような人になっていきたいです。
――― 最後まで非常に面白いお話でした。インタビューは以上です。ありがとうございました。
(おしまい)
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【茅ヶ崎のものづくり】由紀精密の伊達令さん
・第1話 茅ヶ崎の下町ロケット。皇太子殿下がご視察された町工場のものづくり。
・第2話 なぜネジの町工場が航空宇宙の領域に舵を切れたのか。
・第3話 ものづくりも、広報も強い町工場。
▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。東海岸商店会の公式サイトの運営や、ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。
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