【株式会社声音の飯室佐世子さん #2】自分の人生に感動し、大切な人に声を遺してほしい。オリジナルBOOK制作サービス『人生のベスト盤』に込めた思い。
平賀（インタビュアー）：オリジナルBOOK制作サービス「人生のベスト盤」について教えてください。
飯室佐世子さん（以下、飯室）：ご依頼者やご依頼者の大切な方の人生を、まるごと一冊の本にまとめるサービスです。インタビュアーが6時間ほどお話を伺い、その方が生きてきた軌跡をライター、編集者がストーリー化し、フォトグラファーが写真を撮り下ろし、それらをデザイナーがデザインします。それぞれの道のプロが専属チームとなって、この世に１冊となる人生の本をオーダーメイドするのが特徴です。ご自身のこれまでのストーリーや価値観をまとめ、より一層自分らしい人生を歩む活力や、ご家族など大切な方に共有するきっかけとしてお役立ていただけます。
平賀：どんな思いで「人生のベスト盤」を立ち上げたのでしょうか？
飯室：いくつかあるのですが、大好きな父の突然の他界が始まりでした。私が結婚を機に、実家に少し戻って両親と思い出づくりをしようというタイミングのことでした。父は持病が悪化して入院し、そのまま息を引き取ってしまったんです。インタビューライターとしてたくさんの方のお話を聞いてきたのに、父の話は聞けていないことだらけだったと思い知らされました。この悲しみが想像以上で、でも別れはいつか誰の元にもやってくることだからこそ、人生や思いを遺すものを作ろうと立ち上げたのが「人生のベスト盤」です。
▼「人生のベスト盤」立ち上げのストーリー
https://jinsei-bestban.com/archives/426
■手元に残るものだけでなくプロセスも含めて一つのサービス
平賀：「人生のベスト盤」は年齢や職業関係なく作っていただけるんですね。
飯室：すでに15歳〜75歳の方のベスト盤を制作しており、肩書きも様々です。「大した話はないんだけど……」とこぼす方も、インタビューが始まれば次々とストーリーや思いが溢れ、いきいきと語ってくださるんです。ご本人も、話しながら気づくこと、思い出すことがたくさんあるんです。それを聴きながら、私たち制作スタッフも毎回心から楽しんでいます。「本」だけをサービスにしているのではなく、作る過程も含めて大切な時間になるよう意識しています。著名人でない限り、意外と自分の話をする機会はありません。サービス立ち上げから1年以上が経ちますが、「どんな人生もドラマに溢れている」と自信をもって言えます。
平賀：インタビューそのものも含めて「人生のベスト盤」なんですね。
飯室：完成後は、「人生のベスト盤」とともにインタビュー音源もお渡ししているんです。それは、取材でご家族や大切な方への感謝を必ず言葉にしていただいているから。やはり、肉声でその言葉を聞くことが、残された人の生きていく力になると思うんです。面と向かって言わないであろう言葉ほど、お話していただくようにしています。ご家族が知らないエピソードを伺うことも、大切にしていますね。
■自分の人生に、ちゃんと自分で感動してほしい
平賀：取材を終えた後、制作中はどんなことを大切にされていますか？
飯室：制作中は、ご本人以上にその方のことを理解するように努めています。単なる情報整理ではなく、その方の無意識にある「そうそう、こういうことを言いたかったんだよ」まで描いていくことを目指しています。何より重きを置くのは、構成ですね。考えてみれば、テレビドラマの主人公も大抵は知らない人じゃないですか。ただ単に人生のできごとを時系列ですべて描かれたらあんなに集中して観れないでしょうし、本当に伝えたい大切なことに気づけないかもしれません。「人生のベスト盤」でも、６時間聞いたお話の中からどのエピソードをピックアップし、どんな物語にしていくかはとても考えていますね。それによって、自分の人生に、ちゃんと自分で感動する体験を届けられると思っています。
飯室：最初の読者はご本人やご家族かもしれませんが、いつかご本人が旅立たれた後にお孫さんやひ孫さんにも読んでいただけたら嬉しいですね。そのために、まったく知らない方が読んでも楽しく、その方を感じられる構成や文章を意識しています。「人生のベスト盤」を一人一冊作り、「自分が歩む人生は素晴らしいのだ」という実感と、それを大切な人に理解してもらえる感覚をもちながら生きていければ、より豊かな世界になると信じています。
（おしまい）
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