【詩人のNomeさん】詩は、詠み手と受け手の解釈が違っていて良い。人の気持ちがわからない「発達障害」を抱える詩人。

今回の「湘南・茅ヶ崎で暮らす人」は、詩人のNomeさんにご登場いただきます。茅ヶ崎で詩人活動をしているNomeさんは、「発達障害」と「性同一性障害」という二つの障害を抱えています。23歳のNomeさんがどんな学生時代を歩み、現在なにを思うのか。ぜひ最後までお読みください。(全2話)




――― 本日はよろしくお願いします。


Nome よろしくお願いします。


――― まずは現在のご活動を伺えますか。


Nome はい。いまは何をやっているかと聞かれたら、「詩人をやっています」と答えるようにしています。


――― 私は詩人さんとお話するの初めてです。


Nome あんまりいないですよね。実は私も詩人さんと会ったことありません(笑)


――― そうでしたか(笑)Nomeさんの詩人としての活動はどんなことでしょうか。


Nome 具体的には、個展に出す詩を手書きで書いたり、あとはSNSで発信をしたりすることもあります。


↓Nomeさんの詩


――― Nomeさんが書く詩というのは、なにか人に伝えたいことを書くということでしょうか。


Nome そういう人もいると思うんですけど、私はちょっと違って。

私は伝えたいことがあるから書くということよりも、自分の中で思ったことや感じたことをただただ文字に起こしたいタイプです。


――― そういうタイプもあるんですね。


Nome ただはじめて個展をやらせていただたときに、来てくださった方から「心が温かくなった」とか「勇気をもらえた」と言っていただけて。

それで私が思ったのは、書いた文字が嬉しそうだなって。


――― 文字が嬉しそう。


Nome はい。書き上げるともう自分のものではなくなるような感覚があるんです。

それに、なにか伝えたいと思って書いても、伝えたい通りに伝わるとは思わないですし、自分の解釈と相手の解釈は全然違って良いと思います。


――― なるほど。


Nome そもそも、私はあんまり人の心がわからないんです。

相手の心に寄りそうというのが苦手で、傷つけがちで。

だから弱っている人には近づかないようにしています(笑)


↓Nomeさんの詩


――― そう言われることが多いということですか。


Nome デリカシーがないとか、言われますね。

お医者さんから「発達障害」という診断ももらったので、きっと本当にそうなんだと思います。

「高機能自閉症」ということらしいんですけど、診断書によれば「他人とのコミュニケーションは人の助けや助言があってもできない、もしくは行わない」にチェックがついています。


――― 自閉症にもさまざまなタイプがあるというのは聞いたことがあります。


Nome そうですね。人の気持ちを察する軸と、IQ(知能指数)の軸があって、私は人の気持ちを察する方の軸が特に低いんです。

それでIQの軸についてはそれが一定以上ないと「知的障害」に分類されるんですけど、私の場合そっちの軸もぎりぎりのラインで。


――― こうしてお話していてもそんな感じはしないです。


Nome じゃあきっとうまく取り繕えているんだと思います(笑)

IQが特に低い分野は言語性理解なので、難しい言葉や情報量が多いと処理しきれなくて。

例えば携帯ショップでプランの話をいろいろ提案されても、「この人はなにを言ってるんだろう?」ってなります。


――― 診断をされたということは、病院に行こうと思ったきっかけがあったのでしょうか。


Nome あるとき、バイト先に行こうとしたのに全然違うバスに乗っちゃって、自分でもなんかおかしいと思って病院に行ったんですね。

最初は「うつ病」と診断されたんですけど、話すうちに発達障害の検査もしてみようという話になって、そしたら実際にそうだったんです。


――― 聞いたときはショックだったんじゃないですか。


Nome いえ、「ショック!」というよりは、「へー」という感じですかね(笑)

振り返ってみると、あーだからバイトで自分はほかの人よりもよく怒られたり、仕事中に周りの人から慌ててフォローされることが多かったのはそういうことだったのかなって。

だから、自分で思っていた以上にきっと迷惑をかけてしまっていたのかな、とは思いました。


――― なるほど。


Nome みんなが当たり前にできることができなかったのは、「そうか、私は健常者じゃなかったのか」って。

病気のせいにすることは良くないと思うんですけど、妙に納得感というか、理由がわかったという感じです。

だからいまでは、誰かとなにかをするときには事前に伝えることで、お互いに心の準備ができるようにしています。


――― 対策が打てるようになったんですね。


Nome これまでバイトは接客業が多かったんですけど、会話は好きなので常連さんと仲良くなったりするのは割とできる方だったと思うんです。

ただ仕事内容を覚えることがとにかく苦手で。

だからお客さんには喜んでもらっても、周りのスタッフとかには大変な思いをさせてしまう。


↓当時のNomeさん


――― お客さんと仲良くなれるのは武器ですね。


Nome 接客自体は好きですね。

アミューズメントで働いていたときに、お客さんにアプリのインストールを案内する仕事があったんですけど、新人なのに圧倒的に成績が良かったことがあって。

たぶん他の人は「お客さんはアプリ入れてって言われたら嫌だろうな」っていう気持ちがあってあまり積極的に行かなかったんだと思うんですけど、私の場合は接客が好きだし、あとは相手の気持ちを察せられないので、どんどん案内をするじゃないですか(笑)


――― なるほど!それも強みですね。


Nome コンビニもやったんですけど、そのときは接客は良くても宅配便とかそのほかの覚えることがすごく多かったので、うまくいかなかった部分はあります。

やっぱり複雑なことを覚えることができなかったり、マニュアルが理解できなかったりして。

だから、私は詩人活動のほかにもライターの仕事にも興味があるのですが、そのライターの募集要項すら理解できないことがあって、応募できなかったりします。


――― 募集要項にたくさんの情報がありすぎると厳しいんですね。


Nome はい。あともう一つ応募できない理由があって。募集要項に「男性募集」とか「女性募集」とか、あとは「男女募集」とか書いてあると応募できないんです。

私は「無性別」だから。


(次回につづく→性別は「無性別」。性同一性障害を背負いながら、不便なく、不自由なく生きていく中で、詩を書き続けたい。


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▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter

2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。東海岸商店会の公式サイトの運営や、ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。

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