【プロサーファーの大澤伸幸さん】サーフィンのイメージを変えたい その想いでやってきて
茅ヶ崎に住むユニークな方を紹介する「茅ヶ崎で暮らす人」。今回は茅ヶ崎出身・茅ヶ崎在住のプロサーファー大澤伸幸(おおさわ・のぶゆき)さんにご登場いただきます。地元の中学校を卒業後、単身でオーストラリアへのサーフィン修行。2010JPSAグランドチャンピオンであり、子ども2人の父親である。そんな大澤さんのサーファーの生き方やライフスタイルとは?ぜひお楽しみください。(全2回)
▼大澤伸幸さんのご経歴
1988年生まれ、神奈川県茅ヶ崎市出身。茅ヶ崎在住のプロサーファー。湘南のサーフィンスクールや専門誌特集を通じて、サーファーのチャレンジやスキルアップをサポートしている。2010JPSAグランドチャンピオン。奥さんと子ども2人の4人家族。大澤 伸幸 YOUTUBE "NEW BIGINNING"
■茅ヶ崎で家族みんながサーフィンをする
――― 今日は、茅ヶ崎のサザンビーチでのインタビューをさせてもらいます。本日はよろしくお願いします。
大澤 よろしくお願いします。
――― 大澤さんは現在のどのような活動をされているんですか?
大澤 プロのサーファーとして、大会にでたり、専門誌でスキル紹介をするライダー役をしたりすることもあります。
また、湘南にあるスクールで教えることもありますね。
プロを目指す若い人や高校生たち、サーフィンをはじめる人たちにサーフィンを教えています。
――― ちなみにサーフィンをするきっかけってどのようなところからですか?
大澤 サーフィンをはじめるきっかけは、家族みんながサーファーだったことですね。父子家庭で育ったのですが、父も含めて男兄弟3人もみんなサーフィンをしてました。
――― 家族みんなでサーファーって、すごいですね(笑)
大澤 そうですね(笑)
我が家はいろいろありましたけど、いま思うと面白い家庭環境でした。
海で過ごし、仲間ができ、楽しく生きてこられた。そんな気がします。
――― なるほど。
大澤 地域の人たちもうちの家庭の事情をよくわかってくれていましたし、お世話になってきました。
あと、なんでも笑い飛ばせるサーフィン仲間たちにも助けられて来ましたね。
――― 海やサーフィンがきっかけですね。
大澤 そうです。自分の居場所は海にしかなかった、そんな気がします(笑)
茅ヶ崎で暮らす魅力は、『海と一緒』っていう感覚だと思います。ライフスタイルの魅力というか。
――― たしかに、海が身近にある存在ですよね。
大澤 はい。それは、海と共存している感じだったり、潮風や波の音を触れることだったり、その時々の過ごし方もまた海と共にありますね。
■いま大切に感じていること
大澤 いま一番、思うのが『楽しんで生きること』って大切だなってことですよね。
いろいろな人生を歩んできた親父も楽しそうなんですよね。
――― 楽しそうな親父って、いいですね!
大澤 そうですね。
サーフィンも楽しんでいましたし、実は男気も溢れるひとで。
幼なじみの奥さんもこのまちで生まれて育ってきたので、茅ヶ崎のよさや生活の仕方をよくわかっているんですよね。
――― ご夫婦で茅ヶ崎育ちですね。そんな大澤さんにとって、まちの魅力はどんなところですか?
大澤 やはり、茅ヶ崎では「こういう生き方をしたいな」って思わせてくれるひとが多いことですね。
ライフスタイル、人のスタンス、親のありかた、それぞれでいいなと思うことがあります。
――― そう思えるまちやひとっていいですね!
■自分の好きなことだけをやっていても 好きなことにはならない
大澤 そんなライフスタイルのなかでも、「好きなことだけをやっていても、好きなことにはならない」と思っていて。
――― なんとも気になるフレーズです。
大澤 父親になるまでは、自分のためにサーフィンの時間を集中して過ごせました。
親となり、練習一つとっても、子育てで時間がなくなります。
試合前日に子どもが夜泣きして睡眠時間がほぼ取れないコンディションで調整することもありました。
――― それは大きな違いですね…。
大澤 もちろん大変ですけど、振り返るとそれも楽しい経験だったなと。
結果として、「大変だったことが好きなことにつながる」、そんな感覚です。
――― ともすれば「時間がない」とできない理由にしてしまいがちです。
大澤 そうですよね。「なにを感謝するか」「環境に向き合うこと」がそのなかで大切に感じます。
――― 感謝や向き合うことで、できないことや大変さを乗り越えてゆく、そんなイメージでしょうか。
大澤 はい。それは「子どもたちと向き合うこと」ともつながってきます。
父子家庭の子だから、今思えることがあります。
自分の父親にも「やりたいこと」がもっとあっただろうなぁと。
いずれ子どもたちは、「自分のお父さんがどうやって過ごしてきたのか」って考えるようになると思うんですよね。
――― えぇ。イメージが湧きます。
大澤 だから自分がもっと楽しもうと思うし、子どもに「お父さん、いいな!」って思わせたいんですよね。
子どもたちに「さぁ、こんなふうに真似をできるか!?」ぐらいの気持ちで過ごしていますよ(笑)
――― それって、すごい(笑)!
大澤 そもそも、我が家は本気の体育会系の家族で叱られるときは、めちゃくちゃ厳しかった。
けれども、それ以上に自分たち子どもに対して愛情深かったんですよね。
――― 厳しさ以上に愛情深さを感じられたんですね。
大澤 そうですね。そして、楽しく生きる(笑)
■サーフィンって遊びでしょ?といわれたとしても
――― 今までと今で、変わらないことってありますか?
大澤 そうですね。「サーフィンって、要は遊びでしょ?」のように言われることですかね。
――― 大澤さんもそのように言われますか?
大澤 (笑)それは言われ続けますね。
ただ、楽しみながらファンを作る仕事として、最上級だと思っています。
もちろんサーフィンはもともと遊び発祥なので、やはりそういう部分もありますよね。
■ずっと「サーフィンのイメージ」を変えたかった
――― 大澤さんが岡さん(スポンサーのRASH WET SUITS 代表)とお話している動画を観させてもらいました。
大澤 はい、あの動画ですよね。
↓ 岡廣光さん(RASH WET SUITS 代表)出演のYouTube動画
――― 遊びの要素についても、コメントがありました。
大澤 遊びそのものであるんですよね。
自分は遊びの意味に加えて「サーフィンのイメージ」を変えていきたい気持ちがありました。
――― どんなふうに変えたかったんですか。
大澤 サーフィンは、スポーツでもあるということですね。
いま変わりつつあるのは、オリンピックという一つの大会で「サーフィン」が競技として選ばれたことですね。
――― そうですね。選ばれましたね!
大澤 目指していたスポーツの側面が少しずつ認められてきたという気持ちがあって。
■遊びやスポーツ、ライフスタイルの要素のあるサーフィン
――― RASHさん(前述の RASH WETS SUITS)の動画のなかで、海から上がる大澤さんがスッと海へ一礼している瞬間がありました。
大澤 あれ、そんなシーンありましたっけ(笑)
かつては「海に一礼する」という人は誰もいなかったように思いますが、今では子どもたちでも一礼する姿を目にするようになりました。
――― その人にとっては、遊びだけでない印象を感じます。
大澤 遊びやスポーツであり、ライフスタイルでもあるかもしれませんね。
たとえば、野球も遊びであり、プロスポーツでもあり、草野球を楽しくやる人もいる。そんなそれぞれの側面があっていいと思うんですよね。
――― それは、わかりやすい例えです(笑)
■好きなように 思ったように やればいい
大澤 ありがたいことに、若い頃からスポンサーの方々から、「好きにやればいいんだよ」「思ったようにやればいい」という言葉をかけてもらったおかげで、結果に縛られたことがないんですよね。
――― 好きなように、思ったようにですね。
大澤 そうです。
同時に、自分には責任感も芽生えました。
「この人に結果を見せたい」という気持ちに走りました。
また、「好きなようにやればいい」という言葉って、軽いようで実は深くて…。
――― 軽いようで実はそうでないという(笑)
大澤 そうですね(笑)
ただ、自分を信頼してくれる大人がいた。
そのことでプロとして頑張れた。
だから、自分が親となった今、子どもたちにもそのような接し方を心がけています。
――― よい関係ですね。
大澤 これからもそうでありたいですね。
(次回につづく)
▼インタビュー・編集 Sasaki Yohei’(facebook)
岩手生まれの両親の次男坊。素直に義務教育を終えた後、高校から29歳までが葛藤期。長らくの冬眠期間を過ごし、かみさんと飲み会で出逢う。結婚を機に茅ヶ崎で暮らし、フラットな場所で水を得る。2014年より6年経ってなお、フラットな人とまちが好き。仕事はインターネット周辺。
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