「良いデザインはある。」任天堂に14年半勤めて見つけた前田高志の”プロの条件”。

(前回の記事はこちら→アイディアを”ただの連想ゲーム”にしない方法。クリエイティブ集団「前田デザイン室」の長・前田高志のディレクション術。


■元・任天堂デザイナー


――― 前田さんはかつて、あの任天堂で働かれていたのですよね。


前田 はい。任天堂の宣伝部でデザインリーダーをしていました。


――― 具体的にはどんなお仕事をされていたのですか。


前田 マリオやポケモンの山手線ポスターをつくったりとか、店頭のカタログをつくったりとかですね。

あとは任天堂の会社案内パンフレットもつくっていました。


↓前田さんがデザインした任天堂の会社案内パンフレット(参照元


――― あれすごいですよね。いち企業の会社案内パンフレットが海外でも紹介されたり、フリマサービスで売られたりしていますもんね。


前田 そうですね。あれは結構、毎年話題になりますね。


■人生の終わりが見えた


――― 任天堂には何年ぐらいいらしたのですか。


前田 14年半です。

任天堂を辞めた理由は、父親が若年性アルツハイマーになったことなんですね。

62歳のときになって、実家にいる母親がすごく心配になりました。


――― はい。


前田 父親が痔の薬を間違って飲んで、救急車に乗って暴れたとか、そういう話をあとから聞くじゃないですか。

そうするといまの仕事ってそれを放っておいてまでやるような大事ことなんかなっていうのをちょっと思ったりして。



前田 実は父親の母親と、父親の兄も同じように若くして認知症になったんですよ。

それで認知症って遺伝って聞くし、「自分もそうなるならあと20年くらいだなぁ」っていう感じで人生の終わりが見えて。


――― 死をイメージしたのですね。


前田 はい。終わりが見えたから、もういまから全部やりたいことやったらいいと思うようになって。

実家の近くに住めば両親になにかあったとき助けられるので、任天堂を辞めて株式会社NASUっていうデザイン会社をつくりました。


■プロの条件は「良いデザインを確実にする」こと


――― キャリアを変えるというのは怖くなかったですか。


前田 やっぱり終わりが見えたことで動機ができたのと、あとはぼくのキャリアの選択基準って「成長」っていうのがおっきなポイントなんです

任天堂を選んだのも成長できると思ったからだし、辞めたのも外の世界で経験した方がもっと自分は成長できると思えた。


――― なるほど。


前田 実は一度、任天堂時代に転職活動をしたことがあるんですよ。

あの「くまモン」をデザインされた水野学さんの事務所です。


――― あ、茅ケ崎ご出身の。


前田 そうです。水野さんは圧倒的に高いクオリティのデザインをされるので、どうやってクオリティコントロールをしているのか純粋に知りたかったんですよ。

それを覗きたくて面接に行ったんですけど、落ちました(笑)



――― ブログで拝読しましたが、たしか面接では確実に受かりそうな雰囲気だったのに不採用だったんですよね。


前田 そうそう、あんなに盛り上がったのにダメなんかい!みたいな(笑)

有名な話ですけど、水野さんはくまモンのデザインを決めるまでに3,000パターン用意しているんですね。


――― すごい数!


前田 要するにそれくらいのクオリティコントロールをしているということですよね。

ぼくは若い時からプロの条件についてよく考えていて、最終的には「良いデザインを確実にする」のがプロだというところにたどり着きました。


――― 良いデザインを確実にする。


前田 デザインっていろいろ考えられる中で、やっぱり「良いデザイン」というのはあるんですよ。

言い方を変えれば、悪いデザインを選ばないようにするということでもあります。


――― 良し悪しの基準はありますか。


前田 一律の基準があるわけではなく、それは毎回向き合わないといけないわけで、だから水野さんレベルの方でもくまモンで3,000回の試行錯誤をするんです。

あとで「こっちの方が良いじゃないですか」って言われたときに「いや、それは検証した上でこっちが良いですね」って言えるのがプロなんで。


――― なるほど。


前田 最終的に、結局最初の方のデザインに戻ってくることも多いですよ。

でもやっぱり後悔したくないし、良いものを確実にしたいじゃないですか。


――― 前田さんの死生観からデザインのプロ意識についてまでよくわかるお話でした。次回は前田さんの今後についてお話を伺います。


(次回につづく→デザイナーあらため“41歳新人漫画家”の前田高志が遺したいメッセージとは。


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▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter

2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。東海岸商店会の公式サイトの運営や、ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。




▼編集アシスタント 権藤勇太

エキウミインタビュー担当。平日は都内で法人向けの業務改善提案を行う営業マン。休日は緑に囲まれた茅ヶ崎で畑をいじったり、キャンプしたりフットサルをしたりのんびり生活をしている。消防団に入ったことをきっかけに、自分が使うお金がどこに流れて回っていくのか興味をもち商店街の活性化に2018年参加。

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