【日本音楽制作者連盟の安部次郎さん】一番矢面に立つ実演家の権利を守る。「著作隣接権」の普及に従事。

――― 本日はよろしくお願いします。


安部 よろしくお願いします。


――― 以前「エキウミ」でRYU AMBEさんのお話(詳しくは「30歳までは何をしていても良い。好きなことを見つけて、インプットをたくさんしろ」を参照)を伺ったときから、父でありプロデューサーでもある安部次郎さんにお会いしたいと常々思っておりました。


安部 ありがとうございます(笑)いつもRYUがお世話になっています。


――― それではまず、次郎さんの現在のご活動を教えていただけますか。


安部 ずっと行ってきたことで言うと、音制連(日本音楽制作者連盟)でアーティストやパフォーマーの権利を守る活動をしてきました。


――― 権利を守るというのは、要するに著作権とかそういうことでしょうか。


安部 著作権というのは作詞家・作曲家の権利のことで、それは日本音楽著作権協会、通称JASRACの活動ですね。


――― なるほど。


安部 実は音楽に関わる権利というのは大きく分けて二つあって、いま言った作詞家・作曲家のための「著作権」、実演家とレコード制作者のための「著作隣接権」があるんです。

で、ぼくは二つ目の「著作隣接権」に関わる仕事をしています。


――― なるほど、つまり歌であれば「歌手」にお金が分配される仕組みを作っているということでしょうか。


安部 そうです。一番矢面に立っているはずのアーティストやパフォーマーがなんでこんなに擁護されていないのか、という議論が昔からあって、ちゃんとそこにも還元されるインフラ整備をしましょう、という活動をしているのが音制連です。


――― たしかに、一番矢面に立っているのはそこですね。


安部 その議論の大きなきっかけになったのはレンタルレコードが登場したときです。

当時ロックやポップス、ニューミュージックが黎明期で、まだ整備がしっかりしていないところにレンタルの波が来たんですね。

通常3,000円で買ってもらって各関係者に還元されるビジネスモデルだったのが、レンタルが登場したことで300円で聴けるようになった。


――― 業界的には大ピンチですね。


安部 もちろんそれだけ多くの人に聴いてもらえるというメリットはありつつ、ちょっとこのままだと生計が成り立たないという話もあって、整備が必要だろうと。

そういった議論の中から、アーティストやパフォーマーを守るために音制連が作られたというわけです。


――― なるほど、そして最近だとインターネットがまたビジネスモデルを変えていますよね。


安部 おっしゃる通り、YouTubeで無料で聴けたり、定額音楽配信サービスが流行っていたりと、音楽を聴く形が変わってきていますよね。

ノンパッケージの時代になっているので、関係者の構造も変わってきていて、そこで権利の問題というのは改めて考えなおされる時期になっているのだと思います。


――― だれがどこでお金を取るかというのは、今後も議論が続くテーマですよね。


安部 音楽で飯を食っていこうというとき、音制連が頼りになる存在になっていきたいですね。

とはいえ10年ぐらい前にぼくは理事から顧問という立場になっているので、毎日そのことばかり考えている、という感じでもないんですが(笑)


――― そうでしたか。


安部 あとは音制連の延長でやらせていただいているのが、芸団協(日本芸能実演家団体協議会)という実演家の地位向上を目指している団体があって、会長が人間国宝の野村萬さんなんですけど、そこには理事として参加しています。


――― 別の角度からも実演家を支援するご活動をされているのですね。ちなみに音制連に関わり始めたのはおいくつの頃からですか。


安部 30代からなので、もう30年ぐらいは関わらせてもらっています。

音制連に所属するきっかけとなった音楽業界との関わりは大学生の頃からなので、それを含めるとこの業界にはもう随分と長いことお世話になっています。


――― 次回は、その音楽業界との関わりの部分について詳しく伺いたいと思います。


(次回につづく→好きなことでインプットし、飯のタネをつくる。「ブレッド&バター」のマネジメントに奔走した20代。


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▼インタビュー・編集 小野寺将人(BlogFacebook / Twitter

2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。

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