【黒糖茶房の大森健司さん】自分だけの土俵を見つける
(前回の記事はこちら→黒糖茶房の大森さん。2転3転の会社員時代)
――― 前回は会社員時代のお話を伺いました。今回は「黒糖茶房」を始めるきっかけから教えてください。
大森 ずっと飲食店に興味はあったんですが、やっぱり何か特徴がないと飲食店はやっていけないのは目に見えているじゃないですか。
――― 飲食業界ほどのレッドオーシャン(競争が熾烈な市場)は他にないという話もありますよね。
大森 はい。ですので、競争をしないで済む土俵がどこにあるのかを、ずっと考えていました。
42歳のとき、嫁さんと沖縄旅行に行ったのですが、現地の黒糖を食べたらすごく美味しかったんですね。
もともと黒糖や黒蜜はあまり好きではなかったんですけど、沖縄の黒糖はまったく別物でした。
妻と、「これすごく面白くない?」という話になりまして。
↓沖縄旅行の写真
――― 沖縄の黒糖をお店の特徴にできるかも知れないと思ったのですね。
大森 早速、色々調べてみたらストーリーがあってすごく面白かった。沖縄にある8つの離島で作られる黒糖は、それぞれが全然別物なんです。
ネットで調べたら、8つの離島の黒糖全てを扱うお店はなかったので、「これだ!」と思いました(笑)
――― ついに見つけた、と。
大森 自分は営業・販売・接客の経験があるし、妻は手帳メーカーでネットショップの販売を担当していたから、販売やマーケティングについては大丈夫だと思っていました。
この黒糖をどうブランディングすれば売れるかを夫婦で話し合いました。
――― 売る力については相当強いタッグですね(笑)
大森 そうですね(笑) まだお店がありませんから、二人でコンセプトシートを作りこんでから、沖縄の黒糖を扱う協会に直接足を運びました。
会社員時代に営業していた頃は東北担当だったので、地方の人ほど直接会わないと信用してくれないというのは肌感としてありましたから、対面で話をするのは絶対に必要だと思いました。
――― なるほど。わざわざ沖縄まで交渉に行ったのですね。
大森 はい。ただ、沖縄の工場にも出向いたのですが売ってくれませんでした。
そこでよくよく調べると、砂糖は一律代理店に卸すのがルールになっていたのです。
会社を辞めちゃったころだったので、あの時は「あれ、どうしよう」って焦りました(笑)
――― ただ、サラリーマンをやっているとその辺の裏事情についても飲み込みが早かったんじゃないですか?
大森 まさにそうです。会社員時代に代理店のようなこともやっていたので、こういうときはどうすれば良いか何となく想像はつきました。
色々辿っていって、ついに仕入れ先のメドがついた後は、本当に安心しました。
――― これで少なくとも「黒糖」を柱にすることはできるようになったのですね。
大森 そうですね。
やっぱり私たちは一流レストランで修行をしたとか、そういう下地がないので、「美味しいものさえ出せばお客さんは来るはずだ」という売り手本位の考え方にならない所が強みだと思っています。
もちろん美味しいものを作るように最大限努力はしますが、それと同時に「どうすれば他にないお店が作れるか」について、こだわり抜いています。
そういう意味でも、沖縄の8つの離島でしか作られていない「沖縄純黒糖」を仕入れられることで、オリジナリティを出せる柱を作れたのは大きかったと思います。
(次回につづく→黒糖茶房の空間はすべてに理由がある)
【雄三通りで会える人 黒糖茶房の大森さん】
・1話目 黒糖茶房の大森さん。2転3転の会社員時代
・2話目 自分だけの土俵を見つける
・3話目 黒糖茶房の空間はすべてに理由がある
・4話目 自分だからできること
▼インタビュー・編集 小野寺将人(Facebook / Twitter)
2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。
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