【茅ヶ崎地区BBS会】厳しい環境にいる子どもの“いま”と“未来”に寄り添う。文教大学の元平佳奈さん

茅ヶ崎の大学生にご登場いただく「SHONAN CAMPUS」。今回は、茅ヶ崎で青少年の健全育成や更生保護(非行からの立ち直り)に向けた活動を20年以上続けられている「茅ヶ崎地区BBS会」会長の元平佳奈さんにご登場いただきます。学生ならではの幅広い活動について、お話を伺いました。


■ 子どもに寄り添うBBSの活動とは


――― 本日はどうぞよろしくお願いします。まずは、BBSの活動について教えてください。


元平 はい。BBSは、Big Brothers and Sisters Movementの略で、青少年の「健全育成」や「更生保護」に取り組む学生のボランティア活動です。

自分ひとりでは解決できない問題を抱えている子どもと、お兄さんやお姉さんのような身近な存在として寄り添いながら、自立を応援しようという活動です。


――― 「健全育成」はなんとなく分かるんですが、「更生保護」というのはどのような活動なんでしょうか。


元平 そうですよね。「更生保護」は、犯罪や非行をした人の立ち直りを、地域のちからで支えようという活動です。


――― 犯罪や非行ですか。とても難しそうなテーマですね。


元平 BBSは、戦後まもない1947年に京都の学生が始めた活動だそうです。当時は、戦争で親をなくした子どもがたくさんいて。食べ物も住む場所もない中で、死んでしまったり、犯罪をしてしまう子どもも少なくなかったようで。

そうした状況を、若者の力でなんとかしようと始まった活動です。


――― だから「健全育成」と「更生保護」なんですね。茅ヶ崎のBBSでは、どのような活動をされているんですか。


元平 文教大学のサークルとして、主に茅ヶ崎にある児童養護施設の「白十字会林間学校」や、施設退所後の青年に住居を提供されている自立援助ホームの「湘南つばさの家」でボランティア活動をしています。


――― すみません。児童養護施設や自立援助ホームというのは、どのような施設なんでしょうか。


元平 児童養護施設は、虐待や貧困、親との死別などいろいろな事情から家庭で生活することができない子どもが生活する施設です。

多くの場合、児童養護施設は、18歳で退所になるので、そうした子どもの居場所になるのが、自立援助ホームです。


――― わかりやすく説明していただき、ありがとうございます。そのような施設が茅ヶ崎にあるということを初めて知りました。


■ 身近なお兄さん・お姉さんだからできることを


元平 白十字会林間学校は、年に2回ほどですが、子どもたちと一緒にサッカーやドッジボールをしたり、海で遊んだりしています。

湘南つばさの家には、会員それぞれが月1回以上うかがって、夕食作りのお手伝いや一緒にごはんを食べて、食後の団らんを過ごしています。



――― 実際に活動されてみて、いかがでしたか。


元平 活動する前は、「どんな子だろう」とか「どう接すればいいだろう」と勝手に考えていた部分がありましたが、実際に会って話をしていると自然に打ちとけました。


――― 自然に打ちとけたという感覚はすごいですね。


元平 更生保護とか健全育成の分野には、それを専門にされている大人の方がいらっしゃいます。

そのお手伝いを学生がやる強みは、子どもたちと年齢が近いということだと思うんです。

年齢が近いからこそ、専門家の方とは違ったかかわり方ができると思うので、子どもたちにとって、良いお兄さん・お姉さんになれるように意識しています。


――― まさにBBS(Big Brothers and Sisters)なんですね。活動される中で、気をつけていることはありますか。


元平 話し方や内容には気をつけています。BBSの活動は子どもたちにとって良いお兄さん・お姉さんであることを目標にしているので、悪い言葉づかいはしないようにしています。

あと家族や進路に関する話はデリケートな場合もあるので、しないようにしています。


――― ほかには、どのような活動がありますか。


元平 年1回、横浜刑務所で開かれる市民向けのイベントに出店したり、「ともだち活動」といって試験を受ける非行少年に勉強を教えたり、ふれあう活動もあります。


――― BBSの活動を通じて思うことはありますか。


元平 私たちのこんな身近に、一人で頑張っている子どもがたくさんいるということを知らない人が多いのかなと感じます。

もっとたくさんの人に知ってもらって、どんな環境にいる子どもでも幸せになれるよう、みんなで応援できる地域になると良いなと思います。


■ 更生保護ってなに?から始まりました。


――― 元平さんは、どうしてBBSに入ろうと思ったんですか。


元平 高校生まで学外の人とほとんど接してこなかったので、「大学生になったら色んな人と接するボランティアをやりたいな」となんとなく思っていました。

サークルを探す中で、更生保護という聞いたこともない分野に取り組んでいるBBSのことを知って。


――― 知らない世界に飛び込むには、すごく勇気がいりますよね。


元平 そうですね。ただBBSは70年以上も全国的に活動してきた実績があって、ほかの大学の学生とも交流できると聞いたので、とまどいはありませんでした。


――― コロナウィルスの感染拡大防止が求められている中、現在の活動はどうですか。


元平 大学から対面での課外活動は禁止されているので、新しい会員の募集も十分にできていない状況です。


――― オンラインというわけにはいきませんか。


元平 いろんな人とある一定の時間を、同じ場所で過ごすことが活動の中心になるので、オンラインだと難しいですね。

それと子どもたちと連絡先の交換はできないという事情もあります。


――― そのような事情もあるんですね。以前と同じように活動ができるようになったらやりたいことはありますか。


元平 まずは一年生会員の募集からでしょうか。

私がそうであったように、「更生保護ってなに?」ってところからのスタートになるので、私たちの活動をちゃんと説明することからやりたいですね。



――― そもそも知っているという人が多くないテーマでしょうからね。


元平 そうですね。実はもう一つ大きな問題があって、来年4月の湘南キャンパスの一部移転によって、会員の9割が東京に移ってしまうんです。


――― それは大きな問題ですし、学生がいなくなってしまうのは、茅ヶ崎民として寂しいです。


元平 移転に向けて活動したかったんですが、そもそも会えないし、1年生も入ってこないしという状況になってしまって。


――― 身動きがとれない状態なんですね。


元平 これまでの活動を通じて、茅ケ崎地区BBSとしてもそうですが、個人としてもいろんな方と関係ができているので。

そうしたつながりが完全に切れてしまわないように、しっかり後輩につないでいきたいです。


■雄三通りを面白くするアイディア


――― ありがとうございます。最後に、このエキウミは「雄三通り」を拠点としていますが、雄三通りをもっと面白くするアイディアを教えてください。


元平 雄三通りと言えばこれ!といった、学生向けのメッセージみたいなものがあるといいなと思います。

加山雄三さんのことをあまり知らない世代なので、茅ケ崎に来た当初は雄三通りと聞いて、歴史上の人物かな?と思っていました。


――― ここ最近で一番ショックかもしれません。どんなメッセージがあると良いと思いますか。


元平 いつも常連の方でにぎわっていて、なんとなく敷居が高いイメージがあるので、学生でも入りやすくなるきっかけみたいなものがあると良いなと思います。


――― とても大事な視点ですね。インタビューは以上です。本日はいろいろと教えていただき、ありがとうございました。


(おしまい)



【SHONAN CAMPUS】茅ヶ崎地区BBS会 文教大学の元平佳奈さん

・厳しい環境にいる子どもの“いま”と“未来”に寄り添う。



▼インタビュー・編集 井上普文(Facebook

コミュニティバスに貼られていたポスターを見て「エキウミ」の読者に。そこから、茅ヶ崎のヒト・コトをもっと知りたいと思いエキウミに参加。駆け出しのワークショップデザイナーとしても活動中。

0コメント

  • 1000 / 1000

エキウミ:茅ヶ崎のローカルインタビューメディア

エキウミでは湘南 茅ヶ崎にいる魅力的な方を紹介しています。茅ヶ崎が地元の方も移住した方も、エキウミを通じて「茅ヶ崎の応援したい人」を見つけてくださいね。