【ADDressの佐別当隆志さん】居場所のある社会をつくる。シェアリングエコノミーが救う地域と人

(前回の記事はこちら → 月額4万円から住み放題!地域にねざした夢の多拠点生活を叶えるサービス


■シェアリングエコノミーの衝撃


――― 日本では「シェアリングエコノミー」についてまだピンとこない人が多いと思いますが、シェアリングエコノミー協会の理事もされている佐別当さんがシェアに惹かれる理由を教えてください。


佐別当 一番の理由は、僕自身がシェアによって人生が好転していったことが大きいです。

10年ほど前、恵比寿に「ソーシャルアパートメント」というマンションをリノベーションしたシェアハウスに住んでいたんですね。


――― そのシェアハウスはどんなところでしたか。


佐別当 たとえば共有スペースでピアノを弾く人がいたり、美味しい料理をする人がいたり…それぞれが自分の時間を楽しみながら空間をシェアする「リアルなソーシャル空間」が目の前に広がっているのが面白くて(笑)

そこには大使館の人もいれば、ベンチャーキャピタルの人や、学生なんかもいて、まさにダイバーシティがありました。


――― そうやってシェアの醍醐味を感じられたのですね。


佐別当 はい。当時は海外でAirbnbやUberを体験して衝撃を受けたり、日本にSNSが流行りはじめてネットとリアルの融合が実感できたりと、そういう時代だったんです。


――― たしかに、ちょうど10年前ぐらいが一つの過渡期でしたね。


佐別当 そのときに「このシェアの世界は来る」と確信したんです。

ためしに自宅をAirbnbを出してみたらたくさん面白い出会いがあって、もうこのシェアを仕事にしようと決めたんです。


■生き残りをかけてシェアに頼る地方


――― その後、シェアリングエコノミー協会を立ち上げられましたよね。


佐別当 はい。日本でもシェアが認識されはじめた頃、すごくネガティブな印象が広がっているのを感じていたんですね。

「闇民泊」とか「白タク」とか、街に害をもたらすような印象を持つ人も増えてしまって、このままではまずいと思っていました。


――― シェアは正しく使えばすごく面白いのに、と。


佐別当 そうなんです。僕の周りでは地域の町内会や商店街とすごい友好関係があって、「世間がなんと言おうとシェアの活動は絶対応援するから」とまで言ってくれていて。

だから世間一般のシェアに対する印象がこのまま悪い方向に行くのは絶対に止めたくて、それで業界団体を立ち上げたんです。


――― シェアは地域にとってポジティブなことだと伝えたかったんですね。


佐別当 はい。全国的に有名な地域でも、僕が訪れるたびに衰退しているのを目の当たりにすると、余計にそう思います。

人口は減り、飲食店やタクシーもなくなり、「もうシェアに頼るしか私たち生きていけない」という声も聞くんですよ。


――― そういう危機意識から、ADDressをつくりあげたのですね。


佐別当 僕はもともと業界団体で体制づくりだけをしようと思っていたんですが、もはやそんなことも言ってられないなと。

地方が元気になるためには、自分自身でこの問題に取り組まないといけないと思ってADDressをはじめたんです。


■ADDressで再生できる物件とは


――― ちなみにADDressの最初の物件はどちらだったんですか。


佐別当 南房総にあるもともと民宿だったところですね。

窓から海が見えて、しかも朝日も夕日も見られるんですよ。


↓ADDress南房総邸(引用:ADDressサイト


――― 民家ではなく、民宿が最初だったんですね。


佐別当 いまって本当にたくさんの空き家が増えているんですね。

旅館やホテルはもちろんのこと、学校や役所や図書館のような公共施設も空いてしまっています。

僕らは老朽化した廃ビルをリノベーションして再生させたりもしてきたので、「さすがにもう無理だろう」と思われている建物でも大抵いけます(笑)


■居場所のある社会へ


――― 最後に、佐別当さんの夢を伺えますか。


佐別当 ADDressによって、「どこにいっても自分の居場所がある」っていう世界をつくることです。

たとえば東京でうまくいかないとき、北海道に居場所があればそっちでやってみるとか。

少し大きいことを言うと、それがあれば結構な社会問題って解決できるんじゃないかなって思っているんです。


――― いまの話を聞いて、映画「ジョーカー」の主人公を思い浮かべました。だれにも認められず、居場所もなく、社会から取り残されたあの主人公も救えるかもと。


佐別当 そう!まさにジョーカーを観たとき、僕はまっさきに「絶対ADDressを広げなきゃ」って思ったんです(笑)

あの主人公がもし、ADDressを通じて地方にいったら、すごく感謝されるわけですよ。

来てくれるだけで、本当に喜んでくれる地方ってあるんです。


――― なんとなくわかります。


佐別当 そうやって「自分は受け入れてもらえている」っていう感覚はすごく大事だと思うんですよね。

もちろん相性はありますから、定額のADDressで物件巡りをしてみて欲しいです。


――― ADDressは定額なので知らない地域でも行ってみようと思いやすいですよね。


佐別当 まさにADDressの会員さんって、次行くところをADDressの拠点リストから選ぶんですね。

茅ヶ崎のようにだれでも知ってる地域じゃなくても、ちゃんと選ばれて人が来てくれるんです。

たとえば…鳥取県の岩美町ってご存知ですか?


――― すみません、存じ上げないです。


佐別当 鳥取県の人からすれば岩美町ってブランド価値が高いエリアなんですね。

そこにはホスピタリティ溢れる家守がいるADDressの物件があるので、そこでの居住体験って最高なんです。

そういう体験を通じて「自分の居場所はここにある」と感じてもらえたらすごく嬉しいです。


↓ADDress岩美邸(引用:ADDressサイト


――― ADDressは空き家の問題だけでなく、だれかの人生を救うサービスだとわかりました。今度、茅ヶ崎の家守さんにもインタビューをしたいと思います。本日はありがとうございました。


(おしまい)




▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter

2015年に茅ヶ崎市に移住し、2017年に「エキウミ」を立ち上げる。東海岸商店会の公式サイトの運営や、アクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティング、記事の寄稿も行う(SUUMOタウン「まだ茅ヶ崎に行ったことのないあなたへ」、Gyoppy!「スーパーにはない魚が買える」茅ヶ崎の人気鮮魚店が果たしている大事な役割)。

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