【川廷昌弘さん:博報堂DYホールディングス編】持続可能な社会の実現へ。SDGs(エスディージーズ)の日本語化を推進。


(前回の記事はこちら→雄三通りの木の家編:共に成長できる家。日本初のFSC認証を取った新築戸建。


――― 前回はご自宅の「雄三通りの木の家」について伺いました。今回はお仕事編ということで、ビジネスマンとしての川廷さんについて伺いたいと思います。
まずは川廷さんの勤務先と、役職について伺えますか。 


川廷 はい。私は株式会社博報堂DYホールディングスのCSRグループで推進担当部長を務めております。


――― 木の家を建てたお話の中で、「つくる責任 つかう責任」という言葉を使われていましたよね。


川廷 そうですね、あれはSDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)という国連が定めた2030年目標を、日本語化したものの一項目です。

国連の公用語は6カ国語で日本語が入っていないため、国連広報センターの根本かおる所長に相談させていただいて、コピーライターと共に博報堂としてボランティアで日本語版を作りました。


↓SDGsのロゴ日本語版(引用:国際連合広報センター) 


――― そのSDGsについてもう少し詳しく教えていただけますか。 


川廷 SDGsは最近メディアにも取り上げられることが増えてきたのですが、要するに地球上のあらゆる課題、例えば貧困とか環境とか、そういうものの繋がりをまとめて示したものだと思ってください。


――― 課題の繋がりをまとめたもの・・・


川廷 はい。これまで日本では地球温暖化の議論が活発化したあと、森林保全、生物多様性、貧困問題などさまざまなことが順々に議論されてきましたよね。

私はその変遷にたまたま関わってこれたのですが、みなさん環境や社会や人のためになることを言って頑張っているのに、あまり接点がなくエネルギーが分散しているなと。 



――― それぞれがバラバラに動いてきたということですね。


川廷 そうなんです。それを今後はみんなで協力してやっていきましょう、と言うときに使えるコミュニケーションツールがSDGsなんですね。

貧困、福祉、教育、エネルギー、働きがい、まちづくり、気候変動、平和・・・それぞれが持続可能な環境・社会・経済を実現する上で繋がっているのだと。

ですので、このSDGs自体は2015年に国連で制定されたものなのですが、話していることは何も新しいことはなく、これまでみんなが課題意識を持っていたことなんです。


――― よくわかりました。そしてその日本語化を川廷さんも推進されたということですね。


川廷 そうです。いまは自治体や企業もこのSDGsへの関心が高まっていて、ここ一年で私も30以上の講演依頼をいただいてきました。

博報堂の中でも、「博報堂ソーシャルアクション」と題して、社会課題解決の活動をしている社員の取り組みに対しSDGsアイコンを付けて多くの方と共有できるように工夫しています。


↓神奈川県の「SDGsフォーラム」で黒岩知事とご一緒したときの様子 


――― SDGsのことを学びたいときに、入門書のようなものはありますか。


川廷 仲間たちとプロデュースしたSDGs for School「未来を変える目標〜SDGアイデアブック」がオススメです!(笑)

これまで知り合った多くの方々に執筆いただき、学校教材向けに編集した非常にわかりやすい内容なのでぜひ読んでみてください。


↓一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会。左から上田壮一さん(Think the Earth)、水野雅弘さん(SDGs.TV)、末吉里花さん(エシカル協会)、山口真奈美さん(FEM)、こくぼひろしさん(ひとしずく) 


――― 「SDGsアイデアブック」ですね。


川廷 また、先日FM横浜の「e-ne! good for you」という番組に出演させていただいた際に、10分でSDGsをリスナーに伝えきれるか?!というコンセプトでパーソナリティのMITUSMIちゃんとトライしたので、そちらをお聞きいただけるとスムーズかも知れません。


↓MITSUMIさんの番組に出演したときの様子。音声はこちら 


川廷 加えて、SDGsの入門書ではありませんが、この基本理念はもともと日本人の中にある感覚だということを気づかせてくれるという意味で、渋沢栄一さんの「論語と算盤」もおすすめです。

私はこの本にある、“富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。”という言葉に衝撃を受けました。

これこそサステナビリティの本質を日本語で端的に言い切っていると思います。


――― 教えていただきありがとうございます。ちなみに、川廷さんは、ずっとCSR関係のお仕事をされてきたのでしょうか。


川廷 いえ、もともとはメディアビジネスが中心でした。

わかりやすいところでいうと、テレビ番組「情熱大陸」などの立ち上げに関わりました。


――― そうだったのですね!なぜ環境問題に携わるようになったのでしょうか。 


川廷 2005年に環境省の地球温暖化対策国民運動「チーム・マイナス6%」に携わることになり、そのメディア・コンテンツの担当をしたのが始まりです。

このときに、環境問題を自分ごととして考えるコミュニケーションについてたくさん学びました。


――― たしかに、環境問題を自分ごとにするのは簡単ではないです。 


川廷 そうですよね。地球温暖化防止のポスターに、白くまの写真を使われてもなかなか実感がわかないじゃないですか。

ですので、例えば米どころの地域であれば「お米が安定的に生産できなくなるかも」とか、漁業なら「自慢の魚の漁獲量が落ちてしまうかも」と言われる方が自分ごとになりますよね。 



――― なるほど。茅ヶ崎ならシラスとか、そういうことですね。


川廷 身近な一次産業に影響が出てくるということを感じられるようなコミュニケーションを、各地の地方局と一緒になって取り組んでいました。

メディアプロデュースや環境コミュニケーションといった仕事の経験を経て、現在のCSRに移ることになった、というのが私のビジネスマンとしてのキャリアの一端です。


――― よくわかりました。メディアビジネスを経験した川廷さんならではのご活躍なのでしょうね。それでは次回は、川廷さんのより核心部分に迫る「写真家」としてのお話を伺いたいと思います。


 (次回につづく→写真家編①:阪神淡路大震災で被災を経験。生まれ育った芦屋市の復興を撮る。) 


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▼インタビュー・編集 小野寺将人(Facebook / Twitter

2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。

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